澤田玲奈さん [情報アーキテクト(IA)]
NPO法人原子力資料情報室(CNIC)のウェブサイト・リニューアルプロジェクトに、情報アーキテクト(IA)として参加された澤田さん。
本業とは異なる役割を求められながらも、素晴らしい活躍ができた秘訣とは?
IAとしての貴重なご意見をインタビューしました。
自分(本業)のスキルを使って誰かの役に立ちたいと思っていました
――今回、サービスグラントに参加したきっかけを教えてください
ある社会起業家の方と出会ったことで、自分もなにかしたいと思うようになったことがきっかけでした。でも、寄付のようなものでなく、自分のスキルを使って誰かの役に立ちたい、私が行動することで、何かが変わるという体験をしたいと強く思っていました。そんな時、ある人から「プロボノ」という「スキルを提供するボランティア」があることを教えて頂きました。調べると、まず最初にサービスグラントが出てきたので、すぐに説明会へ行って、スキル登録をし、プログラムへの参加が決まりました。
――情報アーキテクト(IA)として参加された経緯を教えてください
本当はマーケッター希望だったのですが、説明会に参加した時にIAの登録者が少ないとお聞きしました。私はウェブサービス会社に勤めていましたが、ワイヤーフレームなどを作ったことはありませんでした。ただ、本業でサイトの改善提案などをしていたこともあり、サイトの全体像は把握することができるため、なんとかできるかも、と思いIAとして登録しました。
――IAとして参加するには、どのような経験、スキルが必要だと思いますか
一番いいのは、ウェブサイトを作る上で、サイト全体を俯瞰して見ることのできる人ですね。1回でも、ワイヤーフレーム*やサイトマップといったウェブサイト設計の経験やウェブサイト制作全般に関わったことのある人であればなおさらいいと思います。逆に、全くの未経験者はかなり厳しいと思います。サイト全体を階層として立体的に見たり、多角的に見て、情報を振り分ける必要があるので。ワイヤーフレームは、家造りで言うと、まさに骨組み。そこから、色付けがされていくわけです。ベースがふわふわしていては、後で大きく崩れてしまうので、やはり経験がある人がしっかりと骨組みをつくることはとても大事だと思います。
* ワイヤーフレーム: ウェブサイト全体の構成やページのレイアウトをまとめたウェブサイトの設計図。
みんなと進めていくうちに、どんどん不安はなくなっていきました
――プロジェクト参加前に不安だったことはありますか?
私にとって初めてのプロボノで、かつIAのような役割は初めてだったので、凄くドキドキしていましたね。あとは、本業と同じやり方で初対面の方々ときちんと仕事ができるのか不安でしたね。
でも、プロジェクトが始まってみんなと進めていくうちに、どんどん不安はなくなっていきました。チームメンバー全員が、自分がメインで活躍するフェーズ以外でも、率先して関わってくれたことが大きかったと思います。
特に、プロジェクトのやり取りはメールが多く、メールは文字のみのコミュニケーションとなるため、コトバで伝えるよりも少し冷たく伝わってしまうことが多いんです。みんな、それを感じさせないメールコミュニケーションをお持ちでした。小さなやりとりもフレンドリーで、1つ1つに気持ちの入った言葉のコミュニケーションにとても助けられました。
――プロジェクトに参加したことで得られたことはありますか?
プロボノでやったことが本業の方にも活かせる、相乗効果がありました。例えば、ワイヤーフレームを作成する際、情報を棚卸する作業は、本業でお客様の課題を考えるのに役に立つのではないかと思います。いろいろな情報の分け方を考えたり。あとは、CMS**の知識がついたことで、自分の知識・経験の幅が広がりましたね。
最後に、一番大事なことですが、「達成感」です。一つのプロジェクトをチームでやり終えた感。チームのメンバーはそれぞれで思い悩むこともあったと思うんです。でも誰一人愚痴を言わず、全員が前向きに取り組んでいたこと。これがたまらなく素晴らしい〜!と感じました。出来上がったものが世の中の皆様の元に届けられたこと。クライアントからの「ありがとう」というコトバ。こちらこそありがとうなんですよね!
** CMS: Content Management Systemの略。テキストや画像、レイアウト情報などを一元的に保存・管理し、サイトを構築したり編集したりするソフトウェア。
今回のプロジェクトのノウハウを、どれだけ次に活かせるか試したい
――澤田さんの考える、プロボノに向いている人はどのような人ですか?
2種類あると思います。ひとつは、もちろん本当に社会貢献したい、プロボノをやりたいと思っている人。もうひとつは、自分の今のライフスタイルにモヤモヤしている人、なにかやりたい、自分の殻を破れるかチャレンジしたいと考えている人ですね。私にとっても、今回の参加は大きなチャレンジでしたが、この経験がとってもプラスになりました。
――次回も参加したいと思いましたか?
もちろん!次回もIAとして参加したいですね。今回のプロジェクトのノウハウを、どれだけ次に活かせるか試したいです。そうすれば、もっといいものができるんじゃないかなと思っています。
【参加プロジェクト】
NPO法人 原子力資料情報室
(ウェブサイト・サービスグラント)
役割:情報アーキテクト
その他のプロボノワーカーの声