プロジェクト紹介
こえとことばとこころの部屋(ココルーム)
ココルームは、日雇い労働者のまち釜ヶ崎に活動拠点を置き、多様な人の出会いの場作りなどを行うことでそこで暮らす方々の自律的な生き方をサポートしています。また、釜ヶ崎内で培われている知恵や情報集積を、表現活動・調査事業などを通じて外部に発信し、釜ヶ崎と外とを結びつける多様な活動を展開しています。
ココルーム独自で生活保護受給者をはじめとする釜ヶ崎に住む人々の問題解決を目指すのではなく、行政やその他NPOや専門家とも連携を行うなど、ネットワーク化を通じた問題解決に挑んでいます。
「学びたい人が集まれば、そこが大学になる」大学で学ぶという選択肢などなかった、という人が多いまちで「大学」という言葉のもとに人生に関わり合う豊かな学びの場「釜ヶ崎芸術大学」を開催しています。
NPOのニーズ
ココルームは、日雇い労働者の街釜ヶ崎に活動拠点をおく、アートNPO。『生きづらさを抱えるさまざまな立場の人が自分の中にあたりまえの苦労を引き受けて自分らしく生きていく社会。多様な人とかかわり合って生きていく。ささやかな自治の練習』をミッションとし、釜ヶ崎の住民、若者、海外からの見学者、アーティストなど多様な人々が出会い、わかちあう場と空間をつくり、アート活動を実施しています。
具体的には、交流、表現の場、自立を学ぶ場として位置づけるインフォショップカフェ(喫茶店)など4つの拠点を運営するとともに、多様なアート活動を行っています。
釜ヶ崎の人々、若者、アーティストなど多様な人々がクロスオーバーする最先端の場として賞をうけるなど評価を得ているものの、活動が多岐にわたってきたことに加え、メンバーも(2名→4名)増加したことから、組織内で事業計画をともに考えたいがどのように計画すればよいのかわからない。また、ミッションは共有できているものの、その達成に向けて具体的にどう取り組んでいくかの整理が出来ていないという課題がありました。
チームの取り組み
事業計画の立案及びビジョンを策定するために、ココルームのメンバー全員が参加し、意見や考えを交換するミーティングを数回にわたって開催しました。
その際に、チームからは組織のSWOT分析や過去の資料から読み取れる団体の特徴などを整理をし、客観的な視点から見えるココルームさんについてフィードバックを行ったり、ミーティングではチームからビジョン策定に繋がる設問を用意するなどなるべく参加者全員が意見を表明しやすいように働きかけを行いました。
そのなかで、ココルームのメンバーは、改めて次のようなことに気づきを持ちました。
■これまで、日常業務に忙殺され、全員が参加するミーティングの重要性を意識しながら、実際の開催することさえままならなかった。通常、報告書の作成など個々人で作業することが多く、組織内で意見や考えを述べる場がなかった。
■話しにくい内容の問題が起こったときにメンバーがどのようなことを考えているのがわからなかった。
■外部の人(今回はプロボノ)がミーティングに参加したことをきっかけにミーティングが実際に行なわれることでそれぞれの思いや考え、組織への考えの共通点や相違点を認識することができた。
成果
プロボノ終了後のココルームは、2012年から始まった「釜ヶ崎芸術大学」のプログラムが評価され、2014年には現代アートの国際展「ヨコハマトリエンナーレ2014」に出展。また、西成区で単身高齢者の生活保護受給者の社会的つながりづくり事業「ひと花プロジェクト」の運営に参加し、表現プログラムのコーディネイトなど活動の幅がますます広がっています。
それに伴い、業務はますます多忙になっているのですが、情報共有が重要な時期だからこそメンバーからミーティングの開催を呼びかけることが増え、意見や考えを共有する場を意識的につくれるようになっています。このことは、事業運営上の情報共有だけでなく、それぞれの考えを知る手がかりになっています。
また、プロボノをきっかけにそれ以降、理事が「ミーティングに第三者として参加します」という表明が多々あり、今後の方向性や方針などを考える機会もできているとのことです。
NPOの声
NPO法人 こえとことばとこころ部屋(ココルーム)
上田假奈代さん
ココルームは小さな組織です。日頃のスタッフ間のコミュニケーションは良好なのですが、そのため逆にあらためて会議やミーティングを開くということが習慣化していませんでした。今回プロボノのみなさんと話し合うなかで、このことがあらためて課題として浮き上がりました。
そこで、この機会にプロボノみなさんの立ち会いのもと、日常の会話の中では話しづらいことやココルームのミッション、今後の事業計画についてスタッフ間で話し合う時間をもうけることにしました。ミーティングは実際に3回〜5回ほど開かれ、新人スタッフのココルームってどんなところ?という理解が進んだり、今後の事業展開について話し合うことができました。ミッションについても、ひとりひとり違っていい、という結論になりました。それぞれが自分のことばで語れることが大事だと。
とはいえ、このような会議方法がその後当法人において定着したとはいえません。ココルームという組織のあり方の根幹に関わるのではないかという意見もスタッフから聞かれました。今回プロボノのみなさんの協力を得ることで、逆に会議という形式的な場であらたまって話し合うことばかりがよい組織づくりにつながるとは限らないということが浮き彫りになってきました。
もちろん、会議という話し合いがまったく必要で ないというわけではなく、状況に応じて会議が必要だということを認識しています。
その後、「ヨコハマトリエンナーレ2014」出展、台湾・高雄での展覧会という大きなイベントもありました。スタッフ全員が揃うことが難しいなかで、お互いに気を配り合いながら、メールやメッセージ、スケジュールカレンダーへの書き込み、さらには研究会を丁寧に行なうことでミーティングを補うことを試みてきました。
現在は、こうしたスタッフ間の日常的なやり取りと、期末の理事会・総会、そして緊急時にのみミーティグを開くという形に落ち着きつつあります。
こうした形式はプロボノのみなさんたちが当初考えていたのとは違うものだったかもしれませんが、会議という要素をどのように盛り込むかについて改めて考える機会になりました。意識的にスタッフ間コミュニケーッションをこころがけていると思います。また、皆さんに関わっていただくことで、外部の人にどのように話せばココルームという組織が伝わるのか、伝わらないのか、どのように見られるのか、ということを率直に学ぶことができました。また、プロボノメンバーの方の職場の基金に当法人を推薦いただくなど、こころを配っていただいたことに感謝しています。
進捗状況
- アカウントディレクター:
- 弓場さん
- プロジェクトマネジャー:
- 紺野さん
- マーケッター:
- 谷和さん 武末さん
- ビジネスアナリスト:
- 腰高さん
掲載情報はプロジェクト実施時点のものです。最新情報は団体のウェブサイト等でご確認ください。