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吉崎勝哉さん(公務員、マーケッター)

公務員だからこそのスキル・経験を発見できる機会

 

左から2人目

 

吉崎 勝哉さん(東京都武蔵野市役所 市民部産業振興課 課長)

プロボノでの役割:マーケッター

参加プロジェクト:東京都障害者水泳連盟(印刷物)

東京都町会自治会支援プロジェクト(HP作成支援)

 


 

福島県会津若松市出身、2 児のパパ。
2006 年に入庁(防災課)。

企画調整課では長期計画の策定等を経験し、2016 年に は信用金庫へ 2 年間派遣。
2018 年からは担当係長としてふるさと納税の立ち上げ に携わる。
2020 年に産業振興課へ異動し、2021 年から現職。

他の組織への派遣勤務の経験がターニングポイント

 

――プロボノのきっかけは?

 出身は福島県で、大学から東京に来て武蔵野市に就職。防災課、企画調整課、健康課、多摩信用金庫に派遣され、財政課でふるさと納税を担当後、産業振興課へ異動し2020年4月から課長をしています。

これまでを振り返ってみて、後々「プロボノをやってみよう」と思うことにもつながるターニングポイントは、地元の信用金庫に2年間派遣で行かせてもらったことです。それまで武蔵野市役所しか知らなかったので、他組織に入れたことは大きな経験だったと思います。ここで価値観が変わったり視野が広がったと感じています。色々なことをやってみたいなと思うきっかけになったし、ビジネス方面にも興味が沸き始めました。派遣後は財政課に異動をしてふるさと納税を急遽立ち上げる担当になったのですが、ふるさと納税の仕事は、武蔵野市を見直す機会でもあり、全国の自治体の職員とつながる機会も多くて、ここでも一気に外の世界を知ることができたと感じています。

 プロボノを知ったきっかけは、サービスグラントも登壇していたイベントです。5-6年前から、人生100年時代やライフシフトがもてはやされている時分、武蔵野市以外の自治体の先輩職員とお話しすると色々な活動をされていてすごいなと。ふと自分が定年後、果たして何が残っているのだろう、夢中になれることがあるのだろうか、定年後30-40年やっていけるスキルがあるだろうかと急に不安になって、何かやらなくてはと思ったのがきっかけです。でも、何をやっていいかは全然わからなくて、いきなり副業を始めることはできないし、ボランティアでゴミ拾いや福祉作業をするのは自分がやりたいこととは違うなと・・・。自治会は日常生活ですでにやっていることだし、ビジネスチックなこともやりたいし、とモヤモヤしていました。糸口を探すために色々なイベントに参加していた中で、初めてプロボノという言葉を知り、これまでは本業と副業の2択だけだったその間に、プロボノという選択肢があることを知って、これだ!と思ったのが始めたきっかけです。

 

公務員だからこそ発揮できる役割がありました

 

――どんなプロボノプロジェクトに参加されましたか?

 初めて参加したのは、東京都障害者水泳連盟のチラシ作成のプロジェクトでした。全員初プロボノのメンバーでしたが、それぞれにスキルがあり、団体さんが成果物の納品後も更新できるように、とパワーポイントで編集できるようにするなど、前向きで積極的なメンバーに恵まれました。

 

最終的には笑顔で終えられたのですが、実はヒアリングを進めていく中でチラシを作成するだけでは解決は難しいことも踏まえながらチームとしての提案をまとめていったのですが、提案直前に団体側から内部の事情でプロジェクト中止のお話があった所、プロジェクトマネジャーとサービスグラント事務局とで丁寧に話をして、これまでにやってきた提案だけでも、という話になっていたそうです。

結果、チームからのプレゼンテーションで気持ちが伝わったことで、団体の皆さんも「ここまで真剣にやってくれていたのであれば我々も頑張らなくては」と気持ちが変わって最後までプロジェクトが進みました。終わってみたら、メンバー全員プロボノが初めてとは思えないくらい仲良くなれたし、もともと一緒に仕事をしてきたんじゃないかと錯覚するくらい息の合ったメンバーでのプロジェクトでした。

 2度目は、チーム型ではなく、伴走支援のような形で団体の実行をサポートする役割として、東京都内の町内会・自治会のホームページ作成プロジェクトに参加しました。私が担当したのは新宿区内の自治会さんで、役員お二人が頑張っておられて、真剣な話し合いにヒートアップする時には間に入ったりしながら応援させてもらいました。
実際にプロボノに参加してみて、災害支援、清掃活動、お祭りのお手伝いなど現場に行って活動するボランティアとは違って、プロボノは現場で頑張る人を周りや裏側から支える活動をしている印象を受けました。現場からちょっと離れたところにいて、現場の人が活動しやすくなることを考える仕事がプロボノなのではないかと考えています。

 

自分なりにパラレルキャリアをイメージした時に、ビジネスに絡んで自分のやりたいこととスキルが生かせることがないかな、と元々は中小企業を支援したいと思っていたのですが、2つのプロボノプロジェクト経験を通じて、NPOや自治会や町内会も含んだ「まちづくり」を支援する中小企業診断士になれたら面白いのではないか?!と、自分の中の理想像が徐々に固まってきたと感じています。

 

――公務員の経験が役に立ったなと実感する場面はありましたか?

公務員の世界しか知らないので、企業でバリバリ仕事をしている人と一緒にプロボノをすることで得られるものや、スキルを盗んだりできないかなという下心ありありで参加しました。しかし参加してみると、企業で働いている人も同じ悩みを抱えていることを知ることができましたし、「公務員はスキルがない」と言われていたものの、団体さんとの距離感やコミュニケーションの取り方に慣れているところはあって、公務員としての自分が緩衝材になれる役割があるんだなぁと思いました。

具体的なスキルでは「議事録が分かりやすい」と褒められました。会議内容を記録することは若手職員の頃から頻繁に行っていたため、スキルとして意識したことはなかったのですが、普段の業務で自然にやっていることをプロボノでは褒められたことが意外な発見でした。

 

「家庭と仕事との両立ができるのか?」「メンバーとうまくやっていけるのか?」という不安はありましたが、サービスグラントの説明会に来ている20-30人の方たちも共通して不安に思っていることでした。メンバーからは、「公務員は住民の人の話を普段聞いているから、”じっくり話を聞く”という特性があると思う。公務員の方がプロボノの現場にいて、民間の人とも交わって意見交換できるということ自体にすごく価値があると思う。」と言ってもらえて、良かったです。

専門性と聞くと「狭くて深いもの」だと思いがちなのですが、「広く浅い専門性」もあるのかなと気づきました。色々なことをちょっとずつ知っていることもそれはそれで専門性なんじゃないかなと思い始めたところです。

 

――最後に

プロボノを始めるときは何をやりたいかわからなくて、入っていきました。何ができるか突き詰めて考えすぎず、プロボノをやってみたら、気づくということもあると思います。私の場合はプロボノをやっていく中で自分のイメージが明確になってきました。「まだはっきりは分からないけど自分も何かやりたい」という気持ちに素直に従っていたら、自分のやりたいことが見つかっていった感じでした。

今はまだ自分の理想像(やりたいこと)に向かって歩き出している状況ですが、皆さんにも始めの一歩を踏み出す仲間になってもらえたら嬉しいです。企業の方も同じで、みんな何か目的ややりたいことがはっきり決まっているわけではなく、公務員も民間企業も変わらないと思うので、一緒に頑張っていければいいですよね。

 


 

▼プロボノでのプロジェクト参加へご関心をお持ちになった方は、こちらのページも併せてご覧ください。

▼プロボノ参加者向け説明会を随時行っています。以下より日程をご確認ください。

「プロボノ参加者向け説明会」

 

※本レポートは、2022年3月5日開催、サービスグラントでのプロボノ経験を持つ公務員有志に夜イベント「前例あり!公務員流、 パラレルキャリアのススメ 〜はじめの一歩のはじめ方〜」(https://probono-by-komuin-vol2.peatix.com)の内容を再編集して掲載しています。

※プロボノとは・・・「公共善のために」を意味するラテン語「Pro Bono Publico」を語源とする言葉で、【社会的・公共的な目的のために、職業上のスキルや専門知識を活かして取り組むボランティア活動】を意味します。詳しくはこちらをご参照ください。