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藤村浩二さん(公務員、マーケッター)

プロボノは、公務員流パラレルキャリアの一歩目

 

最後列左から一人目

 

藤村 浩ニさん(特許庁 審判部 審判企画室 課長補佐)

プロボノでの役割:マーケッター
参加プロジェクト:東京都グランドソフトボール連盟(印刷物)
信州高山村観光協会(マーケティング基礎調査)
未来をつくるkaigoカフェ(事業計画立案)

 


 

2000年入庁。商標審査官・審判官としてキャリアを積みながら、外務省・農林水産省等にも出向。

出向先の後輩に刺激されたパラレルキャリア

 

――プロボノのきっかけは?

 特許庁で、ロゴマークや商品名などを商標として登録できるかできないかを判断する仕事をしています。出向先の同僚が民間企業からの出向者だったのですが、仕事で総括業務をしながら、熱くエシカルを語り、NPOの代表もするようなバリバリのパラレルキャリアを実践する人がいて、めちゃめちゃかっこいいな、自分もやってみたいなと思っていました。でも、自分自身を成長させたいという高い意識を持っていたわけではなく、何がしたいかわからない、どうやっていいかわからないと思っていた時に出会ったのがプロボノのプロジェクトでした。

 

――どんなプロボノプロジェクトに参加されましたか?

視覚障害者の方が競技する東京都グランドソフトボール連盟の印刷物のプロジェクトから始まり、信州高山村観光協会のマーケティング基礎調査、未来を作るkaigoカフェの事業計画立案のプロジェクトを経験しました。全て、調査ヒアリング担当の「マーケッター」の役割として参加しています。

 

未来をつくるkaigoカフェは、「対話を通じて介護業界で働く人を元気に!」を掲げるとともに、啓発講座を通じて介護のイメージを魅力的にしたいと、これまで10年、代表の強いリーダーシップで成長をしてきたのですが、成長につれて課題も出てきたということで、今後の事業計画策定を一緒に取り組みました。

 

 

プロジェクトは6名チームで、プロジェクトマネジャー1名、マーケッター5名で臨みました。キックオフから基礎調査をして、現場を見せていただいたり、本格調査に移ってヒアリングやアンケートを実施したり、基本方針としてミッション・ビジョン・バリューを作ったり、事業計画案を立てたりしました。

ハイライトは、「怒涛のわんこそばヒアリング」!、真のニーズを掘り起こすため、熱量高めにお一人1時間半くらいの時間をいただいて、総勢22名から聞き取りを行いました。他にもアンケートを3種類くらい実施して、現状やニーズを把握していきました。営業職やコンサルのチームメンバーはヒアリングが上手い!非常に滑らかな進行に加え、常に低姿勢で、終わった後には議事メモが完成していて、仲間からも刺激を受けました。

また、最新ツールを駆使したプロジェクト進行も刺激的で、1番楽しかったのはmiroというホワイトボードツールです。マインドマップも作れるんです。直感的に操作ができて、他の人が作ったマインドマップからキーワードを持ってきたり、自分やグループの中の思考が見えてきたのが非常に面白く、刺激を受けました。

 

団体さんからも学びは多かったです。介護業界のことは何も知りませんでしたが、現状や課題を知り、こんな方々が働いておられるということも勉強になりました。つながること、対話することを非常に大事にされている団体さんゆえ、その探究された仕組みを見られるのも印象的でした。

 

もう一つご紹介するプロジェクトは信州高山村観光協会です。長野駅から50分ほど車で行った山の奥にあり、温泉、紅葉、滝も揃った知る人ぞ知る観光地です。ワインぶどうの生産に適していることからワイナリーも6軒あり、ワインを軸に新たなファンを獲得するためのマーケティングを行うプロジェクトでした。

 

ここ凄かったのは、相手の懐に飛び込みすぎな人たちが集まっていたことです。ここでも、ヒアリングに注力して、団体さんとの会議も毎週行っていました。 プロジェクトの合間にも、プライベートでどんどん訪問している人がいたり、気づけばワーケーションで長期滞在するメンバーもいて、 終わる頃には村人化していたのかなと思うくらい。でも、信頼関係を構築できたからこそ、村の実情を踏まえた親身な提案に繋がり、 チームが提案した体験型プログラムのパイロット実施など、観光協会さんが具体的に動いてくれているのだと思い、本当にすごいなと思います。

 

プロボノは、ダイバシティを実感できる非常に良い体験

 

――公務員の経験が役に立ったなと実感する場面はありましたか?

サービスグラントのプロジェクトでは、民間の人と同じ土俵でやるので、自分のどういうところに強みがあるのかわかることがいい経験だと思います。日常の仕事では当たり前で自分が気づかない能力が外に出て初めて「意外とここはいけるな」と感じることがありました。具体的には、仕事で文章について上司に「言葉が踊ってるね」と言われ続けてきて・・・。自然に曖昧な表現を使わない、重複する表現を使わない、同じ表現だったら同じ言葉を使うことを叩き込まれていて、文章をみると自然に校正機能が働いているなと。そこは公務員の強みではないかと感じた瞬間がありました。未来をつくるkaigoカフェさんのプロジェクトで、ミッション、ビジョン、バリューを作る時も短い単語で正しい表現で作らなくてはいけない、というところでは貢献できた実感はあります。

 

――プロジェクトの中で大変だったこと、また仕事で変わったなと思うことは?

プロジェクトメンバーは、普段働いている所もバックグラウンドも全然違うので、使う言葉や感覚が微妙にずれていることがあります。そこをチューニングしながら、一つのゴールを一緒に目指さなければいけないのでコミュニケーションで大変なところはありますが、ダイバーシティを実感できるという意味では非常に良い体験だと思います。

 

仕事でも仕事外でも面白いことをやりたいと思っていることもありますが、プロボノを経験したことで、外へのアンテナは高くなってきたな、とか、こんなこともありそうですよ、と内側に情報を持っていける実感は沸いています。

 

プロボノからの、地元のワインプロジェクトにPTA改革・・・

 

――プロボノプロジェクトのその後は

 高山村のプロジェクトは、自分の次の一歩につながったという意味でも有意義な経験になりました。ぶどう作りの魅力やワインによる地域振興の可能性をすごく感じたので、もっと自分事化して考えていきたいと思い、プロジェクトが終わった次の月に、地元の東京都の「ねりまワインプロジェクト」に参加しました。畑作業を本格的にさせてもらったり、プロジェクトの広報担当としてウェブのメンテナンスやSNS発信をお手伝いしています。

 

さらに、ねりまワインプロジェクトで広報としての経験ができたので、次のステップとして、小学校のPTA改革を始め、ウェブやSNSの立ち上げをしました。 その勢いで、八王子の観光誘致の動画製作プロジェクトに参加し、そこではゲーム制作やカメラマンのプロの方とチームを組みました。 その中で私はシナリオやコピーライティングの担当だったのですが、撮影や編集もみんなでやるということになって、面白い方向に流れて楽しいプロジェクトになりました。

 

プロボノをきっかけにパラレルキャリア構築は進んでいるもののまだまだ迷走中。自分はどこにいくんだろうか?という状況ですが、イチローも言っています。

「自分がやると決めたことを信じてやっていく。それは正解とは限らない。間違ったことを続けてしまうこともあるが、そうやって遠回りすることでしか、本当に自分に出会えない。そんな気がしている。」

僕もそんな気がしています。少しでも興味あるものをとりあえず、はじめてみる。一歩踏み出すと見える景色が違って世界が動き出すということがあると思います。

 


 

▼プロボノでのプロジェクト参加へご関心をお持ちになった方は、こちらのページも併せてご覧ください。

▼プロボノ参加者向け説明会を随時行っています。以下より日程をご確認ください。

「プロボノ参加者向け説明会」

 

※本レポートは、2022年3月5日開催、サービスグラントでのプロボノ経験を持つ公務員有志に夜イベント「前例あり!公務員流、 パラレルキャリアのススメ 〜はじめの一歩のはじめ方〜」(https://probono-by-komuin-vol2.peatix.com)の内容を再編集して掲載しています。

※プロボノとは・・・「公共善のために」を意味するラテン語「Pro Bono Publico」を語源とする言葉で、【社会的・公共的な目的のために、職業上のスキルや専門知識を活かして取り組むボランティア活動】を意味します。詳しくはこちらをご参照ください。