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今井昴さん(公務員、マーケッター)

プロボノをきっかけに、公務員以外に地域に関わるキャリアができた

 

 

今井 昴さん(鳥取県庁)

プロボノでの役割:マーケッター(サブリーダー)
参加プロジェクト:SENRO(マーケティング基礎調査)
鳥取ふるさとUI(友愛)会(パンフレット)

 


 

鳥取県米子市出身。鳥取県庁勤務(岡山県庁危機管理課主事として出向中)。

大学卒業後、Uターンで207年に入庁。その後、東部振興課、技術企画課を経て現職。

2019年度にとっとりプロボノ(とりボノ)に初参加。

プロボノを通じて、地域の新しい魅力や人を発見したい

 

――プロボノのきっかけは?

 鳥取県出身で、大学で県外に出てUターンで鳥取に戻って県庁に入庁をして公務員5年目です。2年目の職場でプロボノという概念を知り、3年目の県土整備部技術企画課の2年間でプロボノに参加し、昨年2021年から岡山県に出向して防災対策をメインに仕事をしています。

 

 鳥取県は、総務省の社会生活基本調査でボランティア活動参加率で2006年には全国1位になったこともあり、令和に入ってからは令和新時代創造県民運動を展開していてボランティアには積極的な地域です。

 NPOとの関わりを遡ってみると、大学時代に中間支援組織のインターンシップに参加をしたところから始まりました。公務員2年目に、鳥取県のとっとり県民活動活性化センターさんと仕事上で関わるようになったタイミングで、鳥取県ではサービスグラントと協力してプロボノ(通称:とりボノ)をやっていると聞いたのがきっかけです。鳥取県内のプロボノをしたい人とサービスグラントが首都圏で募集したプロボノワーカーが協力して1つのプロジェクトに取り組む形になっています。鳥取県としては、関係人口を増やしていきたいという思いもあって始まり、プロジェクト期間は約半年間でした。

 

 プロボノの話を聞いて、まず「面白そう」と興味が湧いたこと、地方公務員として鳥取県で活動をされている方とのつながりを生み出したい。という想いがありました。どうしても、デスクワーク中心の部署が多くて、地域の中に足を踏み入れることがなかったので、プロボノという機会を通じて、地域の新しい魅力や人などを発見したいなと思ったことがあります。

 

地域で活動している方々から、直接話を聞けるヒアリング

 

――どんなプロボノプロジェクトに参加されましたか?

 参加したプロジェクトは、一般社団法人SENROという団体で、古民家を活用して八頭町の関係人口を増やすためにどうしたら良いのかを考えるマーケティング基礎調査に取り組みました。

 SENROに関わる協力者や、首都圏で鳥取県など地方に移住したい希望者にヒアリングをしたり、他団体の事例などを学びながら、SENROの中心となる活動をどこに定めるのか、共に活動する仲間を増やすことで活動の活性化、関係人口の増加へと結びつけていく提案をしました。ヒアリングやワークショップを開催して地域の人を巻き込みながら関係人口を増やすための意見を出し合ったりもしました。

 

SENROさんの活動拠点で行ったワークショップ

 

 また翌年もプロボノに参加をして、その時は、鳥取ふるさとUI会というUIターンしてきた人を中心に立ち上がった団体が、より多くの移住者に会やイベントに参加してもらうためのパンフレット作成に取り組みました。

 既存のパンフレットでは、ご高齢の方が中心の写真が使われていて、もっと若い方をUI会に巻き込むためのツール、と目的を一新して取り組みました。団体のメインスタッフや、移住支援団体のヒアリングの他、鳥取県に移住状況に関する調査資料などはあるので、そこから整理を試みたりしました。若い移住者をメインターゲットとした時の課題を整理したり、UI会の活動を説明しやすく、また、気軽に参加してもらえるように企画をまとめました。

 

 出来上がったパンフレットは、以前に比べてカラフルなものに変わり、移住者がUI会に入ってからの体験談を載せて共感を得やすい内容にした他、コンパクトに持ち運べる名刺サイズの成果物も作成して拡散のツールを作りました。

 

 

プロボノが、外に一歩踏み出すきっかけに

 

――プロボノプロジェクトに参加された感想は?

 プロボノをきっかけに、公務員以外で地域に関わるキャリアができたかなと思っています。プロボノ終了後も、今後の方向性を検討して進まれているSENROさんには1サポーターとして関わらせてもらっていて、廃村を使った芸術祭や、竹を使った竹あかりなどのイベントにも参加させてもらっています。

 

廃村となった柿原集落を、プロボノチームが現地視察

 

 自分の中では公務員を主軸に、自分の興味関心から外に一歩踏み出すスタートを切ったなと思います。それから、自ら進んでというよりは、意外と他の人からやってみない?と紹介されたり、頼まれごとから実はことが動いたかなとも振り返っています。

 そうやって繋がりや経験が重なっていくことで、最終的に自己実現の発展につながっているのがパラレルキャリアなのかなと思います。公務員も市場価値を上げていかなければいけないという流れに内心ビクビクしているのですが、自分がやりたいことを追求しながら付加的に自分の市場価値も上がっていくといいかなと考えています。

 今はせっかく岡山県に来たので何か地域にも関われたらと、100の仕事を考えるイベントなどに参加して、自分のやりたいことを見つけに行こうとしています。

 

――どういう経験がプロボノでも役に立ったと思いますか?また、大変だったことはありますか?

 日頃、自分の強みと思っていない議事録、要約する力は外に出てみると強いのだなぁと思いました。行政が持っているデータを引き出したり、どこの情報を参照したら良いのかという情報収集という点でも役立てたなと思います。

 プロジェクトはチーム制なので役割分担をしますが、進行管理を担当しました。公務員は、職務専念義務があるのでプロボノには時間外、仕事が終わった後に取り組むので、プロジェクトの締切までに何を作らなければいけないか、メンバー同士や団体との打ち合わせなどのスケジュール調整は大変だったなと思います。

――周囲や上司の反応などはどうでしたか?

 鳥取県では、職員支援課という所があって、公務員も社会貢献活動をやって行きましょう、と推し進めています。また、個人面談のシートの中に社会貢献活動の欄もあるので、プロボノと書いたら上司からプロボノってなに?と聞かれたり、すんなりと理解は得られたと思います。

 

 同じチームのメンバーからは、「インタビューなどで地域の人と接する時、どんな世代の人とも溶け込んでいって距離感や付き合い方が上手い。細々した重要なタスクを嫌な顔せずこなせるのは物事を進めていくのに大切な要素。」と言ってもらえたのは嬉しかったです。ビジネス的な付き合いではない市民との接し方や、地域団体との接点がある公務員がいる、というのは特に地域密着型の支援に入るときには他のメンバーにとっても安心材料になる様です。

 

――最後に
 私は社会人2年目でのプロボノ参加だったので、スキルもなかったと思います。でも、意外に入ってみると自分では気づかない強みに気づけました。プロジェクトの中で学ばせてもらう、くらいの気持ちで入って、チームメンバーの皆さんとも協力しながら、団体が好転することに力を尽くす。やりたいという思いがあれば始めてみてはいかがでしょうか?

 


 

▼プロボノでのプロジェクト参加へご関心をお持ちになった方は、こちらのページも併せてご覧ください。

▼プロボノ参加者向け説明会を随時行っています。以下より日程をご確認ください。

「プロボノ参加者向け説明会」

 

※本レポートは、2022年3月5日開催、サービスグラントでのプロボノ経験を持つ公務員有志に夜イベント「前例あり!公務員流、 パラレルキャリアのススメ 〜はじめの一歩のはじめ方〜」(https://probono-by-komuin-vol2.peatix.com)の内容を編集しました。

※プロボノとは・・・「公共善のために」を意味するラテン語「Pro Bono Publico」を語源とする言葉で、【社会的・公共的な目的のために、職業上のスキルや専門知識を活かして取り組むボランティア活動】を意味します。詳しくはこちらをご参照ください。