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吉本 圭さん(アカウントディレクター)

遠い存在だったNPO業界を近くに感じた

 

 

吉本 圭さん(インターネットメディア運営会社 勤務)
プロボノでの役割:アカウントディレクター(AD)
参加プロジェクト:ダイバーシティ工房(2013年8月~2014年3月)

 


 

プロボノワーカーとして「全ての子ども達が多様な価値観に出逢い、自立できる社会を作り出す」ことを目標に活動するNPO法人ダイバーシティ工房のアカウントディレクターとしてウェブサイト・サービスグラントに携わった吉本圭さん。
本業では担当部署の事業全体をマネジメント補佐する立場でお仕事をされる吉本さんは、プロジェクトを通じて「遠い存在だったNPO業界を近くに感じた」と語ります。日々の業務で培ったスキルをどのようにプロジェクト運営に活かし、逆にプロボノ活動からは何を感じ取ったのか、お話を伺いました。

遠い存在だったNPO業界を近くに感じた

 

―プロボノの活動に参加されようと思ったきっかけを教えてください。

「外からのインプットを入れてみよう」と思ったのが最初のきっかけです。学びの場を社内外に強く求めていた時に、偶然インターネットでサービスグラントの活動を知りました。ボランティア活動にはもともと関心はありましたが、ボランティアといってもさまざまなNPOがあり、どこに何をしていいのか、自分のスキルをどのように適応していいのか正直わからなかったんです。一方で、サービスグラントが提供しているプロボノプログラムはスキル登録をしておくだけで支援先NPOとのマッチングを行ってくれるので、非常に登録がしやすかったのを覚えています。

 

―実際にプロボノをやってみての感想はいかがでしたか?

これまでNPOの活動に触れた経験がなかったので、どういう活動をしていて、何に困っているのかといった実態について深く理解することができました。プロジェクトの初期段階では、関係する団体にヒアリング調査を行う機会もあったのですが、NPOがどのような人のつながりを持っているのかという点についても非常に興味深かったです。それらの活動を通じて、サービスや事業の拡大に苦労しているなど、ダイバーシティ工房さんをはじめとするNPO団体も一般の個人商店や中小企業と同じような悩みを抱いているんだとわかり、親近感が湧きました。

 

―プロジェクトの初期段階における不安などはありましたか?

正直不安はあまり感じなかったですね。会社でもプロジェクトマネジャー(以下PMと表記)に近い仕事をしているので、進め方の苦労や困難は常にプロジェクトに付きものであることは自覚していました。何かしらの壁にぶつかることはある程度想定していましたし、何かが起きた時は一つひとつ適切に対応していけばいいかなという具合に考えていました。

 

 

自社の“アタリマエ”が通用しない現場

 

―プロジェクトを進めていく上での苦労や反省点はありますか?

個人的には初期のスコープ設定や前半フェーズでのファシリテーションに力を注ぎました。初期のヒアリングの段階でマーケッターの方達が奮闘し、支援先NPOやステークホルダーなど多くの方々に聞き取り調査を行いました。その頑張りが後続の各フェーズを担当する方々に伝播し、皆の頑張りがあってプロジェクトが成功しました。メンバーに恵まれたチームだったと思います。担当しているフェーズのピーク時は深夜遅くにメールが飛んでいて、寝る間を削っているという意味では皆苦労しました。特にヒアリング以降のフェーズではプロジェクトマネジャーの田村さんに頑張って頂きましたが、彼に負荷が相当集中したことは反省点でもあります。

 

また、プロボノには異なるバックグラウンドを持った方々が集まるので、自分の会社では常識とされている共通言語が通用しないといったことはプロジェクトを進めていく上で改めて気づかされた部分です。ドキュメント管理や共有のためのデータベースに不慣れな方もいたので歩調を合わせながら進めていくことを意識しました。プロジェクト中はドキュメント管理が二重になって手間が掛かることもあったので、はじめにファイル管理についてのルールを提示したほうがよかったなというのは反省点です。

 

―コミュニケーション面で工夫した点はありましたか?

サービスグラントの場合はいくつかのフェーズが組み合わさって一つのプロボノプロジェクトが成り立っているわけですが、次のフェーズに移る際の情報の伝え方は工夫しました。フェーズ毎の役割がある程度明確になっている一方、必ずしも同じメンバーが全てのフェーズに関わるわけではありません。前段のメンバーがまとめた情報を後続のメンバーに渡すだけでは情報の齟齬が生じる可能性があります。そこで、ヒアリングフェーズでマーケッターの方々が調査した内容をまとめる作業は、全員でやることを心がけました。それによって共通した認識を各自が持つことが出来、スムーズに次のステップに進めたのではないかと思っています。

 

私自身、これまでにシステム構築のプロジェクトを担当した経験から、フェーズ毎に人が変わると必ず問題が生じる状況をこれまでも見てきました。きれいに資料がまとまっていたとしても、次の担当者にスムーズに伝わらないこともあります。阿吽の呼吸で進められるよう、どこかで皆が集まるプロセスを挟まないと失敗する確率が高くなるという想いがあったので、意識してファシリテーションを行いました。

 

また、コミュニケーションという点では工夫の余地はまだまだあると感じています。どの範囲でプロジェクトを進めていくのかなど、立ち上げの部分はディレクターである私が主に担当しますが、プロジェクトが進むにつれ、私からPMの方に進行役をシフトしていったのですが、それにより情報がPMに一点集中してしまう事態が起こりました。この状況でPMが一時的にプロジェクトを離れるようなことがあれば、プロジェクト自体が頓挫することも有り得たかもしれません。情報を一元管理したり各メンバーが必要な情報を必要な時に引き出せるような仕組みが必要だと痛感しました。

 

 

多様性に触れ、視野を広げる

 

−社内外における活動など、今後の展望について教えてください。

機会があればまた今回のようなプロボノ活動に関わってみたい気持ちはありますが、個人的に特定のNPO団体の活動に関わるのも一つかなと思います。これまでの社会人生活でプロジェクトマネジャーとして培ってきた、課題発見・課題解決能力や仕事の進め方に関するスキルやノウハウを発揮したいと考えています。

 

―最後に、プロボノに参加を検討されている方へのメッセージ

参加者の多様性に富んでいるところがプロボノの良いところでもあると思います。いろんな方の知見や考え方、仕事の進め方に触れることで自分の視野を広げる絶好の機会になるのではないでしょうか。NPOの活動に間接的に関わることで、住みやすい社会の実現に貢献していると実感できるので、やりがいがありますよ。

 

※掲載内容は取材時点のものです。