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武井芽美さん(マーケッター/渋谷のラジオパーソナリティー)

想像よりももっと大きな世界に
足を踏み入れた感覚

 

武井 芽美さん(マーケティング会社勤務)

プロボノでの役割:マーケッター

参加プロジェクト:アース・カンパニー(2018年5月~12月)、お金をまわそう基金(2019年5月〜12月)

 


 

マーケティングリサーチ会社でリサーチやデータ活用を武器に、クライアントに企画提案する仕事に従事している武井芽美さん。
マーケッターとして、2018年に「アース・カンパニー」チームに初参加。翌年には、「お金をまわそう基金」チームで経験を重ねるほか、「渋谷のラジオ」の番組で、さまざまなチームの参加者からプロボノの魅力を聞き出す役も担ってくださっています。そんな武井さんに、ご自身の最初のプロボノ体験やきっかけについて伺いました。

自分のスキルを客観視してみたかった

 

プロボノ活動をはじめたのは2018年4月です。マーケティングリサーチ会社でリサーチや分析を担当して10年が経ち、自分のスキルを客観視してみたい、社外でどのくらい通用するか試してみたいという気持ちが芽生えてきた時期でした。また母の影響で、もともと寄付やボランティアにも関心があり、この先の人生で、社会課題の解決にもっと貢献していきたいと強く思うようになっていました。

そんなときに、会社の先輩がサービスグラントのプロボノに参加したという話を聞いて、背中を押されるように説明会に参加し、すぐにプロボノとしての参加登録をしました。

 

 

初めての支援先は、バリ島拠点のグローバルな団体

 

私が初めて参加したのは、一般社団法人 アース・カンパニーの営業資料作成を行うプロジェクトです。
アース・カンパニーは、濱川 明日香さんと濱川 知宏さんのご夫妻が設立した団体で、バリ島を拠点に活動しています。メインの事業は、アジアで社会課題の解決に立ち向かうチェンジメーカーと呼ばれる方々の支援です。たとえばストリートチルドレンの再起とか、環境学校の設立などに取り組んでいる方たちがポテンシャルをフルに発揮できるよう、3年間とことん寄り添い、クラウドファンディングやマーケティング支援などでサポートしています。

一方で、アース・カンパニー自体も課題を抱えていました。運営資金調達のために、日本の企業向けのバリでのスタディツアーやソーシャル系のコンサルティングを行うなどの事業も強化していく必要がありました。そこで、団体から私たちプロボノチームへの当初の要望は、新しい提携先の企業を開拓していくために、活動内容やインパクトを分かりやすく伝える営業資料を作成して欲しいというものでした。

 

想像していたより大きな世界

 

バリ島は、一昔前は世界のリゾート地として人気でしたが、今はプラスチックゴミ汚染が深刻化していて、ビーチにはプラごみの山ができているそうです。そのため、植物を原料とする脱プラスチックのレジ袋やストローなどの開発など、さまざまなプラごみ対策やリサイクルの取り組みも急ピッチですすんでいて、世界中から視察団が訪れている。しかも、濱川知宏さんは、世界中でBOPビジネスを推進するコペルニクというアメリカ国籍のNPOの最高戦略責任者(当時)も務めていて、コペルニクの拠点もバリ島。バリはいまやソーシャルな人たちが集まるホットな場所になっていて、とても刺激的なスタディツアー先だということをこのときはじめて知りました。
遠隔なので、団体とは、基本はSkypeやオンラインでのやりとりが中心でしたが、団体の方がイベント活動で来日されることもあったので、そのときは対面でお話ができました。アース・カンパニーの方たちは、働き方にしても、考え方にしても、普段の仕事では会わないようなタイプの方々ばかりだったので、一緒にいてエネルギーをいただくことが多かったです。なんだか、想像していたプロボノ活動よりも、すごく大きな世界に足を踏み入れたという感覚がありました。

 

求められたのはプロボノチームによる客観的視点

 

アース・カンパニーにはビジネスパーソンとしても優秀な方々が関わっていらっしゃったので、最初は戸惑いを覚えました(笑)。はじめのうちは、チーム内でもなぜプロボノが必要なのだろうかと疑問に感じることもありました。チームは6名。普段はCSRとか、マーケティングとか、業種は違うけれど割と似通った職種で編成されていました。まず、営業資料の作成を目指すにあたって、そもそもこの団体にどんな良いところがあるのか、どのようなアピールをすれば良いのかがまだ分かりかねていたので、関係者へのヒアリングからスタートしました。そして、ヒアリングを重ねるうちに、プロボノチームによる客観的な視点が求められていることが分かってきました。

私たちからみれば、いろいろなスタディツアーがあるなかで、現地のことをここまでわかっている団体は他にはない、それが最大の強みだと思いました。また、アースカンパニーがチェンジメーカーに直接関わって彼らの活動を間近に見ているので、その内容をリアルな言葉でスタディツアーの参加者に伝えられることも魅力だと思いました。そうした強みや魅力をお伝えしながら、プロボノの成果物としては2つのことを提案しました。
ひとつは、スタディツアーを一緒に組んでくれる中間団体のリストアップです。これによって、アース・カンパニーが手当たり次第駆け回る必要がなくなり営業活動の効率化が図れるようになります。もうひとつは、団体自体の認知率向上や魅力を伝えるための広報の仕方やイベントの開催に関しての課題整理と提案を行いました。当初の要望とは異なりましたが、ヒアリングをするなかでこちらの課題が見えてきたので、敢えてそうしました。団体からも高評価をいただき、ほっとしました。

 

自分のスキルが応用できるプロボノ

 

武井さんは現在、渋谷のラジオ毎週火曜8時放送の「渋谷のプロボノ部」にて、第1火曜のパーソナリティ話を担当。

約8カ月間にわたる長期プロジェクトになりましたが、その分しっかり取り組めたと感じています。団体にしてもチームしても、普段関わらない方々と関わることができたので、本当に刺激的な濃い時間を過ごすことができましたし、自分の仕事の延長としてプロボノの課題に取り組めたので、自分のスキルはこういった応用ができるんだと気づくこともできました。プロボノ自体も楽しかったし、プロボノを頑張りたいから仕事も頑張ろう、というように、上手くバランスが取れるようになっていきました。
私の年代(30代)は、一定の経験を積んできてキャリアに悩む年代でもあるし、結婚や出産といったライフステージも変わる中でその先どうしていくべきか、不安を感じでくる頃だと思います。そんななかで、プロボノはキャリアチェンジをするよりも敷居は低く、でも転職と同じくらいにいつもと違う環境の中でのスキル試しができるので、選択肢としてとても魅力的だと感じています。
ただ、私自身はプロボノを純粋に楽しんでいるのですが、周囲の同年代の人にプロボノのことを話しても、まだまだ自分ごととして思われていないのは少し残念です。
もし少しでも関心を持たれたら、あまり肩肘張らず参加いただければ、世界の広がりや得られるものはすごく大きいと思います。

 

武井さんが初参加したアース・カンパニーのプロジェクトの様子はこちら

 

※掲載内容は2020年1月取材時点のものです。