やっと踏み出せたプロボノプロジェクトが、違う自分を見つける経験に
北 佐和子さん(営業・マーケティング等)
プロボノでの役割:マーケッター
参加プロジェクト:東京都トライアスロン連合 業務整理と改善提案(2023年)
自分に何ができるのか?どんなふうに参加したいか?頼りになったのは自分の直感
私はメーカーに勤めており、法人営業をしていますが、少し違うこともしてみたいなとプロボノへの参加を考えました。
普段の営業の仕事は幅が広く、例えば「Webサイトが作れます」とか「イラストが得意です」と言える方と違い、「私はこれができます」と言いにくいような側面もあります。調整だったり、戦略を練ったり、プロジェクトを管理したり、様々なスキルの中から一点突破で「これが得意です」とは言いにくい。それでも色々な仕事を経験してきた自分に、一体何ができるのか、普段とは違うチャレンジをしてみたいというのが、プロボノ参加の一番の理由です。
そうは言ってもまず、私に本当にプロボノができるかなとしばらく悩みました。そしてやっと立候補したのですが、一度目の立候補の時は、チームに入る事ができませんでした。(事務局注:立候補者の集中するプロジェクトがあった場合などに、残念ながらご参加が叶わない事もあります。)あとから考えてみると、そのとき私自身がとても迷っていたと思います。普通の求職なら仕事の提示があって、それをやりたいから自分のアピールを書くのですが、プロボノで具体的に何をやるかわからない。その中で、何のプロジェクトに手を挙げて、どういうふうに参加していきたいか、どのように立候補理由を書けばいいか、正直全然イメージがわかなかったのです。1回目にプロジェクトに立候補したときはそのような気持ちでした。
そして、次の立候補の機会がやってきました。今度は、説明会で沢山のプロジェクトの提示があり、「このたくさんの中から選ぶのか、難しいな」という気持ちになりました。ただ、東京都トライアスロン連合のプロジェクトについてお話を聞いたとき、「スポーツが好きだし、これならできるかも」と自分の中で響く部分がありました。数あるプロジェクトの中で「これはやりたい、興味がある」みたいなもの、何か自分の趣味や、経験に近いことだと、更に活動に積極的に取り組めるのではないかと思います。
大きなスケールのプロジェクトで、少し不安も感じながらスタート
参加プロジェクトの支援先は東京都トライアスロン連合でした。2023年10月頃から、2024年2月まで関わりました。
団体は、日本トライアスロン連合という大きな母体の地域団体という立ち位置で、東京都内でトライアスロン普及のために、都大会の企画運営や、選手に練習の機会を提供するための練習会実施など、様々な活動をされています。国体選手・オリンピック選手を育成するような活動から、一般の方・初心者の方向けの活動まで、非常に幅が広いです。大会運営のための審判員や、メディカルの方も登録されていて、とても大きな組織としてトライアスロンの普及に取り組んでおられる団体でした。
ボランティアの方を中心に何十年も活動をなさる中で、組織がどんどん大きくなり、審判の方は審判のこと、育成の方は育成のこと、広報の方は広報のこと、それぞれが一生懸命活動なさっているからこそ、全体として誰が何をどこまで進めているのか、誰がどれぐらい忙しいのかが分からないという状態でした。もちろん団体の皆さんはトライアスロンが大好きで、活動を続けておられます。しかしながら、それぞれの活動内容が見えない、引き継ぎが必要なときに、スムーズに引き継ぎができない等様々な課題があり、何が重要で緊急度が高いのか、どうすれば皆さんが活動し易くなるのかを見直す必要がありました。課題のスケールが大きかったので、最初このお話を聞いたときには、約4ヶ月でできるかなと、少し不安になりました。
今回の支援内容は業務分析と課題の整理でしたので、まずは皆さんの業務を洗い出し、個人で担われている中身が何なのかを確認することが必要というところから始まりました。最終の成果物としては、業務分析シートに業務内容を取りまとめ、それを団体の皆さんとご一緒に見ながら、今後何から取り組んだら組織や活動がより良くなるだろうか、というディスカッションにも参加しました。
同じようにプロボノ活動に集まったメンバー同士、チーム活動が進むにつれ、信頼しあえた
不安になりながらも参加して良かったことは、5人のチームで活動するうちに、メンバーのバランスが取れて良い形に収まっていったことです。自分が苦手なことが得意なメンバーがいると知って、頼れる安心感がありました。一方で私が苦手なことを同じように苦手だと思っているメンバーもいて、それはそれでお互いの共通項を知る機会にもなりました。
初対面のメンバーが集まった中でも、チームの中でバランスが取れて、お互いにすごく協力できたと思います。皆、同じように参加者向け説明会に参加し、プロボノ登録をして、立候補してというプロセスを踏んだメンバー同士、責任感のある一生懸命な人達が集まっていました。
大変だったのは、時間の管理です。業務整理の過程で、支援先団体の方々に多数のヒアリング機会がありました。団体の皆さんもお忙しい中、日程調整にご協力いただき、時には遅い時間帯になったりすることもありましたが、プロボノチームのメンバーがモチベーション高く参加していたので、ヒアリングにはインタビュアーと記録係の最低2名が揃い、そしてバックアップメンバーも参加するなど、信頼しあえるメンバーで安心して進めることができました。
調整役としてチームに貢献。チームメンバーのスキルや団体の熱意から影響されたことも。
私は普段は営業職で、人と話す機会が多いので、プロジェクトでも会話の中での調整力や、人から話を聞き出す力が役立ったと思います。チーム内のミーティングでも、これからどうやって進めるか、提案はどんな方向にしようか、様々な会話の中で、自分が良い緩衝材・調整役になれたかと思います。
チームの中にはシステム開発や教育など、自分には馴染みのない分野で普段仕事をしているメンバーがいました。活動をご一緒すると、ビジネス書でしか触れることのなかった他業種のプロジェクト管理手法を目の当たりにしたり、ヒアリングでお相手の話を聞く方法が自分と違っていたり。その影響を受けて、プロボノプロジェクトが終了した後、自分の仕事にアレンジできないかと一人でチャレンジしてみるのが楽しいです。
プロジェクトの中では、団体の方々から学びをいただいたことも非常に良い経験でした。トライアスロン連合の皆さんは本当に競技に熱意ある方々で、「こういう人生もいいな」とすごく刺激になりました。自分が以前からやりたいと思いながらできていなかったライフワークを、少しずつでも実行に移せないかと考えるようになりました。
様々な角度から、違う自分を見つける経験
私の今回のプロボノプロジェクトは、違う自分を見つける経験となりました。
ご一緒したプロボノチームや団体の皆さん、それぞれ個人の方からの学びもありましたし、プロジェクト期間の経験としての学びもありました。本当に様々な角度からの学びがあって、自分を見つめ直す経験だったと思います。
※この記事は、2024年6月19日開催のプロボノ参加者向け説明会 経験者トークの内容をもとに編集しています。
▼プロボノでのプロジェクト参加へご関心をお持ちになった方は、こちらのページも併せてご覧ください。
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