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山本 政也さん(プロジェクトマネジャー)

 

 

社外メンバーとの協働での「多様性」を体感 行動が変わる経験も!

 

山本 政也さん(電気機器メーカー勤務)

プロボノでの役割:プロジェクトマネジャー
参加プロジェクト:CATS WELCARE(関西エリア自主プロジェクト:2023年)

仕事以外でも、経験を増やせる場を探して

 

―参加のきっかけを教えてください。

普段は、社内でデジタルリテラシーを身につけた人材を育成する仕事をしています。プロボノの参加回数は2回です。最初は社内のプロボノプログラムで、社内メンバーだけで編成されたチームにビジネスアナリストとして参加しました。2回目は、社外の方々とのプロジェクトにプロジェクトマネジャーとして参加しました。
当初は違う役割で立候補していましたが、チーム編成の際にアカウントディレクターからお声がかかり、プロジェクトマネジャーを担当することになりました。
プロボノや社外活動については以前から気にはなっていました。コロナ禍の頃から特に話題になることが増えた「副業」や「人生100年時代」と言われる中で、企業で長年勤めたからといって安心はできないと感じていました。勤続20年を超えて、1社で勤め続けているだけでは、何かあったときに対応できないかもしれないという思いがありました。
ただ、会社は副業を禁止しているため、他で経験を積む機会に関心を持っていました。そんな時、会社のイントラネットでプロボノというものを知り、これならできそうだと応募したのがきっかけです。

 

―参加したプロジェクトについて聞かせてください。

CATS WELCARE(キャッツウェルケア)は、2023年NPO法人化した保護猫活動を行う団体です。この団体は、動物のケアだけでなく、人も大切にするスタンスを持っています。団体のメンバーとの対話から、前向きで、子どもや環境などあらゆるものを大切にしたいという思いが伝わってきました。近隣で猫の鳴き声や排泄物の問題が発生している場所で、猫の手術や保護活動を行っています。また、保護した猫を新しい家庭に譲渡し、幸せな生活を送ってもらう取り組みも進めています。
耳の先がV字型にカットされている地域猫は、皆さんもよく見かけることでしょう。これは不妊手術や去勢手術が行われた証です。

団体として、今後は特に猫の譲渡を増やしていきたいと考えていました。
多頭飼育崩壊や飼い主の入院などで保護される猫の数が増加していますが、ボランティアや譲渡先はまだ十分ではありません。保護できる猫の数を増やしていかないと不幸になる猫が増えてしまいます。団体ではボランティアを増やしながら、主に高齢者に猫を譲渡しようと考えています。
どうやってそれを実現するかを形にするため、2、3年後に向けての事業計画立案に取り組みました。
約6ヶ月かけて事業計画全体、広報、高齢者譲渡、預かりボランティアの4つのパートで各5ページ程度の資料を作成し団体に提案しました。

団体拠点での事業計画の基本方針提案ミーティング(正面が山本さん)

社内と社外、どちらも経験して得られた 大切な気づき

 

―プロジェクトはどのように進行しましたか?

最初は、団体のことを全く知りませんでしたが、関わるうちに団体の熱意に共感することが増え、お手伝いしたいという気持ちと理解が深まっていきました。
プロジェクトメンバーは6名でした。アカウントディレクターはベテランの方で、サービスグラント関西事務局の立ち上げ初期からの参加者でした。その方からプロジェクトマネジャーとして参加しないかとお声かけがありました。プロジェクトには、アカウントディレクターと同時期から参加されている方もマーケッターで参画していて、すごく心強かったです。初参加の方が2名、2回目の方が1名という構成でした。
プロジェクトとしては、ベテランの方に頼りながらも、初めての方も初めてなりの視点で質問をすることで、チームとして合意を得ながら進めてきました。ミーティングはオンラインで、頻度はほぼ毎週でした。
私が初参加のプロジェクトでは、ミーティングの期間が空き、議論する話題や作業が何だったか記憶が遠のいてしまう事がありました。
そこで今回のプロジェクトでは、週1でミーティングを設定しました。定期的に開催することでリズムができたこと、何も議題がないときにはスキップすることで、空いた時間を大事に思えたことが良かったと思います。
プロボノに充てた時間は、会議の準備で1時間・会議で1時間、資料作成の時はプラス3時間で、およそ週5時間くらいだったと思います。家族が寝ている朝の時間を使って資料を作り、ミーティングは夜に行うという感じでした。家族にはプロボノについて説明をして、オンライン会議前には子どもたちが「今日はプロボノだから邪魔したらダメだね」と言うなど、理解してくれていました。

 

―社内チームとの違いはありましたか?

社内チームでは、全く知らない部署の人であっても同じ会社なので分かり合えるところがありました。違う会社のメンバーの方が多様な意見や考え方があり、気づきが多かったです。

1つは多様性が大事ということ、もう1つは信頼関係が大事ということです。

世の中でDEI(Diversity, Equity & Inclusion)という概念が広まっていて、私の会社でも耳にする機会が増えています。しかし、同じ会社内では多様性を重視していると言いながらも、共通の規範や価値観がたくさん存在するため、性別や考え方、年代が違っても、別の会社ほどの違いを実感することは少ないです。
プロボノ活動ではこうした違いを体験できます。「こういう考え方があるんだ!」「そこで質問してもいいんだ!」など、メンバーが当たり前に行っていることが、自分にとっては新鮮であり、感性が刺激され、新たな行動ができるようになる、というのが1つ目の気づきです。
信頼関係に関して、プロボノは奉仕活動のためお金をもらうために参加するわけではありません。支援先団体で交通費や資料代などのプロボノ活動への経費負担の支出はありますが、対価はありません。
そのため、信頼関係が最も強いつながりだと思います。
お互いに共感できるか、熱意を持って取り組めるかが重要です。私たちのプロジェクトでは団体からのレスポンスがとても早かったです。アカウントディレクターもレスポンスが早く、双方でキャッチボールできている様子を見て、「私も同じようにしよう!」と心がけました。すると、自然と信頼関係が生まれ、期日を守り、成果物に至るという経験ができました。

事業計画の最終提案後、団体の皆さんと保護猫ちゃんも一緒に(写真奥左から2人目が山本さん)

 

―信頼関係を構築する「レスポンスの速さ」以外に何かありますか?

団体メンバーの発言を真摯に受け止めて、相手の立場を考えて提案したことでしょうか。
プロジェクトの最初は、団体に関する情報を文面だけで理解していたため頭でっかちになりがちでした。団体に関わる人たちへのヒアリングを通じて、「現状はどうですか?」と率直に尋ねると、結構大変だという声が聞こえてきました。そのような思いを理解し、事業計画に盛り込んでいきました。

 

実はこんなことも! チームも団体の皆さんも乗り越えました

 

―プロジェクト中、大変だったことはありましたか?その際に、どう工夫しましたか?

中間提案の段階でチームで色々と考えて提案してみましたが、「これではダメ…」とお返事がきました。その言葉に、チームで少し凹んだ時期がありました…。
「これだとダメなんだ」、「じゃあこれをどう乗り越えようか?」というとき、経験者のメンバーでもあまり例がないということでした。「だったらチームみんなで考えよう!」となりましたが、答えはないので、「こうかな」、「ああかな」とみんなで意見を出し合い、団体側からのフィードバックを少しずつもらい修正を重ねていきました。そのプロセスがあったからこそ最後の成果物にたどり着けたのかなと感じています。

 

―最初にダメだと言われた時、すぐ受け止められたのでしょうか? 

団体のメンバーは、四六時中事業のことを考えていますが、私たちは1ヶ月程度しか関わっていません。その経験の差は当然あるなと受け止めるようにしました。

 

―そのほか、チームメンバーや団体との印象的なエピソードがあれば教えてください。 

チームメンバーには猫が好きな方が多かったので、Zoom会議中にも猫が登場して癒されながら進められました。マイルストーンとなる提案(中間提案など)では現地に行き、終われば飲みに行って話をし、そこでアイデアを練り直して次に向かっていました。このプロセスが私達の思い出です。
飲み会では趣味の話題も交わし、「バンドやっている」、「海外によく行っている」などプライベートな話も楽しみました。団体からは最後に「打ち上げをしましょう」とお誘いをいただき、和やかにプロジェクトを終えることができました。
しかし、その中で団体の方から、「山本さん、期日はしんどかったです。厳しめでした。」と言われ、和やかに進めていたように見えて、実はしっかりとプロジェクトに取り組んでいたことを改めて認識しました。
プロジェクトが終わった後、チーム全員で団体が運営する保護猫カフェに行く機会もありました。

 

―仕事に活きていると感じるプロボノでの経験はありますか? 

具体的な実務スキルや技術スキルではないかもしれないですが、「ヒューマンスキル」が重要だと感じています。
私は仕事でDX人材の育成を目的に社員のインタビュー記事を作成しています。この業務において、全く知らない人に声をかけてアプローチする際にプロボノの経験が大いに役立っています。
今回のプロボノプロジェクトでは高齢の方がターゲットなので、メールアドレスを持っていないことがありました。業務ではメールで簡単に連絡できますが、電話をかけてアポイントメントを取るというハードルがありました。近年は、オレオレ詐欺などの問題があるため、なかなか電話を受けてもらえかったりして(笑)、そんな時は団体の方に中継してもらって電話でお話しすることができました。このフットワークの軽さは、プロボノの経験から得たものだと思います。

 

―プロボノを一言で表すと?

プロボノは自分の経験や考え方を広げる一つの手段だと思います。
最初に、プロボノへの関心として副業というキーワードを上げましたが、副業だと「よいしょ!」と頑張らないといけません。
一方、プロボノは気軽に参加できて、多くの学びが得られます。
あれこれ考えているうちに行動できなくなることがありますので、プロジェクトや団体に興味があれば、立候補してみるのがいいのかなと思います。

※この記事は、2024年1月29日に登壇いただいた「プロボノ参加者向け説明会」での経験者トークの内容から編集したものです。

 


 

▼プロボノでのプロジェクト参加へご関心をお持ちになった方は、こちらのページも併せてご覧ください。

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