事業計画立案のプロセスを通じて、自分たちで課題解決する力を得られた
NPO法人 Small Step
プロジェクトの種類:事業計画立案
実施期間・エリア:2020年8年~2021年3月(東京)
本記事は、2021年11月25日開催の団体向けプロボノ事例説明会の内容を元に作成しました。
プロジェクト当時の活動内容
団体の事業計画立案をプロボノチームが伴走サポート
医療的ケア児や障害がある子どもたちが病院から自宅に戻り、今度は自宅から地域に出ていく。NPO法人 Small Stepは、自宅から地域に出ていく際の支援を通じて、病気の子ども達が孤立することなく、自立できるよう、おうちから社会に出ていくステップを小さくするための活動をしています。
主たる活動は医療的ケア児も通う保育所の運営ですが、プロボノプロジェクトでは、団体が立ち上げた、医療的ケアが必要なお子さんが地域の小学校や保育園に通う時に必要な支援を保護者に代わって行うサービスを、今後どうやって展開をしていくのか。持続可能な事業形態につなげていくための、事業計画立案に取り組みました。
プロボノチームは、まずは団体の関係者へのヒアリングや施設見学を行い、団体の活動や目標を確認。調査方針提案では見えてきた課題を整理するとともに、「事業の方向性と目標」と「サービス内容」について検討しました。
その後、団体の希望により、団体自らが事業計画を立て、それをプロボノチームがサポートするかたちをとることに。保育園関係者や幼児を持つ母親など多方面へのヒアリングを団体とチームで一緒に行い、その結果を議論する形で事業計画をブラッシュアップしていきました。
プロジェクト最後の事業計画提案では、団体から事業計画をプレゼン。チームからは団体が提供する価値を言語化し、提案を行いました。
助成申請のきっかけ・プロジェクト中の感想(支援先団体より)
今必要なのは「考える仲間」と、軽い気持ちで申請
プロボノの存在自体はなんとなく数年前から知っていたのですが、助成申請をした2020年当時は、立ち上げたサービスの形がちょっとずつできてきて、次のステップにいきたいなという頃。メンバーも増えてきて、冷静に考えるということがなかなかできず悩んでいた時期でした。
外部からの支援を得る選択肢はいろいろあって、お金では助成金、ボランティアでは社会福祉協議会などがありますが、今私たちに必要なのは「一緒に考えてくれる仲間」と思っていた時に、認定NPO法人フローレンス代表の駒崎弘樹さんの『ソーシャルビジネス入門』という本でプロボノの話を目にしたのをきっかけに、軽い気持ちで申請しました。
忙しかったけれど、すごくやりがいがあって楽しかった!
私たちの場合、Small Step自らが事業計画立案を行い、そのプロジェクトのマネジメントをプロボノチームにやってもらったという感じです。おそらく、通常は事業計画立案そのものをプロボノチームで実施するのだと思いますが、プロジェクトを進めるうちに「これはもっとちゃんと自分たちで考えなければいけない」という感覚になり、自分たちで計画を作るから、そこを後ろからサポートしてほしいとお願いしました。伴走者のようなイメージで、進捗を随時確認して次にやらなければいけないことを一緒に考えて、計画通りに進めていくところをサポートしてもらいました。
結果的には自分の身になるのでよかったですが、プロジェクト期間中は、とにかくめちゃくちゃ忙しかった!(笑) チームとのミーティングは月に2回ですが、どっさり宿題をもらって次に備えるという感じでした。
プロジェクトを終えて(支援先団体より)
団体の課題と事業構成、目標実現に必要なことが明確に
半年間のプロボノプロジェクトを通じて、団体としての課題が整理でき、事業構成を見直し、目標を実現するために必要なことが何かを明確にできたことが成果だと思います。それを踏まえて、5年後、10年後の長期的な計画も立てました。
助成申請の前は、課題を一緒に考えてくれる人がいたら、という軽い気持ちでいたのですが、「これはどうなんですか?あれはどうなんですか?」と客観的な意見をたくさん投げかけてもらい、課題を提供してもらって、それらを解決していく中で自分たちの方向性が見えていったという流れだったと振り返っています。プロボノチームのメンバーは保育の専門家ではありませんが、課題解決へのスキルや意識が高く、その方々との対話についていこうとすることで、団体としての意識も上がって、プロセスを通じて自分たちで解決する力を得られたのではと思います。
プロジェクト後は、事業計画については理事会や総会など節目で振り返って、方向性の再確認に活用しています。また、プロボノチームの一人が理事になって、頻繁に立ち寄って相談に乗ってくれるようになり、継続して力になってもらっています。
ボランティアとの向き合い方や、寄付への考え方にも学びが
プロボノチームは週に1回、仕事が終わった後に集まって夜中まで話し合いをしてくれていて、自分とは全く関係ない団体の課題について、自分の時間を費やして、次の日に仕事もあるのに話し合いをして・・・って、最初は何でここまで対応してくださるのか理解ができませんでした。でも、あるミーティングですごく楽しそうにプロボノチームの人たちが会話している姿を見て、「そうか、ボランティアというのはお金以外のことで対価を得ることだったんだ」とストンと落ちたんです。自分はNPOの代表をしているのに分かっていなかったなぁ、とボランティアや寄付の基本的な考え方も、あらためて学ばせていただきました。
私も、プロボノチームの皆さんの大切な時間を使って関わってもらっているという気持ちがあったので、時間の無駄にならないように、皆さんにとっても何か得るものがあるように、と常に考えて接していました。一生懸命やってくださっているのだから、私たちも一所懸命やらなければいけない。自分たちが謙虚な気持ちを持って、一緒に取り組むことで、双方にいい結果が出るのではないかなと思います。
とてもいい経験ができるので、他の団体にもぜひお勧めしたいです。