業務フロー改善に加え、運営にボランティアスタッフを巻き込めるように
NPO法人 あっとすくーる
プロジェクトの種類:業務フロー設計
実施期間・エリア:2019年7月〜2020年1月(関西)
協働企業:パナソニック株式会社
パナソニック株式会社は、2011年より社員のビジネススキルを活かしてNPO/NGOの事業展開力の強化を応援する『Panasonic NPO/NGOサポート プロボノプログラム』を実施しています。
プロジェクト当時の活動内容
業務フローを整理し、学生スタッフを巻き込んだ課題解決プロジェクトを実施!
NPO法人 あっとすくーるは、2012年3月に一人ひとりに合わせた学習ができる個別指導形式の授業を行う学習塾としてスタート。特長の1つが、授業がない日でも塾に来て居場所として過ごすことができるということ。また、生活困窮者自立支援制度に基づく学習支援事業を、行政から委託を受け実施しており、ひとり親家庭の現状についての講演なども行なっています。
学習塾の拠点が増えていくにつれて、どの拠点でも高品質のサポートを提供できるようにするための基盤強化の必要性が見えてきたため、プロボノプロジェクトでは「業務フロー設計」を通じた課題把握と解決に取り組みました。
プロボノチームはまず、団体の職員のほか、大学生のボランティアスタッフにもヒアリングを実施。3つの拠点それぞれの保護者、生徒、常勤スタッフ、学生スタッフなど関係者別の業務内容のフローを整理、課題点を可視化しました。
中間提案では、ヒアリングで挙がった複数の課題に対し、大学生スタッフを巻き込んだ課題解決プロジェクトを提案。結果、「学生募集プロジェクト」と、「塾の魅力化プロジェクト」の2プロジェクトが立ち上がり、プロボノチームがプロジェクトのフローを提示し、伴走しながらPDCAサイクルを実践していきました。
最終提案では、各課題解決プロジェクトの進捗や、新たに見えてきたポイントなどの振り返りをまとめ、次年度の取り組みについてのアクションプランをプロボノチームと団体で一緒に議論しました。
【読み物記事】(パナソニック株式会社のウェブサイト内の記事に移動します)
~中・長期を見据えた目標設定と内部基盤整理~
プロジェクトを終えて(支援先団体の声)
自分たちでは気付けなかった課題に向き合えた
サービスグラントのプロボノ支援では2014年と2019年の2回ご縁がありました。2014年は個人のプロボノ登録メンバーによるチーム、2019年は企業プロボノとしてパナソニック社員の方々によるチームが関わってくださいました。
2019年は中長期計画を考えようとしていた時で、最初は外部環境調査をお願いしようと申請したのですが、事務局からのヒアリングの中で、拠点が広がっているにもかかわらず業務が属人的になってしまっている部分も解消した方がよいのではないかと提案いただき、その時点から、自分たちでは気付けていなかった課題や必要なことに向き合うことができました。
プロボノチームの皆さんは、ひとり親家庭の問題や子どもの教育などに関心を持って手を挙げてくださった方々だったので、とてもやりやすかったです。また、プロジェクトの最初のキックオフミーティングを事務所で実施し、塾をやっている時間に来てもらうことで、普段の活動の様子も見て理解を深めていただきました。
プロジェクトを機に大学生スタッフが運営に関わるように
ありがたかったのは、私たちは想定していなかった、大学生のボランティアスタッフへのヒアリングも実施してくださったことです。課題解決のために提示いただいたフローも素晴らしかったのですが、これを機に大学生が運営側に入ってくれるようになったのは、大きなうれしい変化でした。
これまで大学生スタッフは子どもたちに接する現場でのボランティアがメインで、そこをやりたくてきている学生たちだと思っていましたし、運営への関与については僕からは遠慮もあって声をかけられていませんでした。しかし、プロボノチームがヒアリングをしてくれるなかで、運営に関わりたい気持ちを持っている子もいると分かり、プロボノプロジェクトの期間中に大学生スタッフを巻き込んだ課題解決プロジェクトを立ち上げることに。あっとすくーる側も職員、学生ボランティア含めて10名くらいで参加することになりましたが、プロボノチームが伴走して、難しいところはアドバイスをいただきながら実際にプロジェクトを動かせたことが、今につながっています。
成果物では、業務をスムーズにするフレームワークの提案も
最終成果物では、目標設定の仕方や進捗管理の仕方や、消費者の購買決定プロセスを説明する「AIDMA(アイドマ)」などのフレームワークも教えていただけて非常にありがたかったです。自分が一度も企業勤めを経験しておらず、卒業とともにNPOを立ち上げ、団体内にも企業などでの経験を持たずに関わってくれているスタッフが多いので、基礎的な考え方や進め方の部分でも勉強になりました。
プロボノプロジェクトを通して、ヒアリングも含め、外部の方が団体内部にかなり入ってきてくれて一緒に考え、行動することで生まれる変化や、たくさんの気付きが得られ、当初予定していた成果物+αのことも起こりました。また、プロボノチームの皆さんとの、人と人とのつながりを大切にすることで、寄付などさまざまなかたちで継続的に支援をしてくれる方もいらっしゃり、とてもうれしく思っています。
※本記事は、2021年12月09日開催の団体向けプロボノ事例説明会の内容を元に作成しました。