短期から長期にわたるロードマップで、
やるべきことが明確に
支援先団体:NPO法人 山友会
プロジェクトの種類:マーケティング基礎調査
実施期間・エリア:2015年3月~2015年7月(東京)
ホームレス状態にある方へ向け
4つの福祉を提供する山友会の活動
山友会は、東京都の通称「山谷地域」で、ホームレス状態にある方や日雇い労働を行っている方にたいして次の4つの支援事業を行っている団体です。
- 無料診療所の運営
- 生活相談(病院への受診同行、福祉制度等の利用支援、緊急時対応など)
- 配食(炊き出しや訪問活動を通じた、無料診療や生活相談へつなげる活動)
- 宿泊支援(障害や病気を抱えていることによって一人暮らしが困難な方が住み慣れた地域で生活
を送ることが出来るよう、ケア付きの宿泊施設の運営)
寄付基盤の充実、ボランティアの確保、
コミュニティの作りを期待
設立から30年。山友会を取り巻く環境も大きく変化し、さまざまな課題がでてきているなかで、プロボノチームに向けられたニーズは次の3つでした。
1. 寄付基盤の充実
山友会はキリスト教系の方が集まって活動が始まった経緯から、教会での活動を通した知り合い経由の口コミで支援に賛同される方を中心に、寄付登録者は4千名以上。ただし高齢化の影響もあり徐々に寄付者数が減少しており、寄付基盤の安定と充実を図りたい。
2. ボランティアスタッフの確保
地域の女性が中心のボランティアスタッフも高齢化が進んでおり、若い世代からの参加を増やしたい。
3. コミュニティ作り
路上生活者の居場所や生き甲斐作りの提供に向けて、地域住民との交流の場を増やしたい。
内外部から課題を抽出
客観的な視点を持ったマーケティング調査
NPOのニーズを受けて、チームでは、ボランティアプログラム拡充の可能性について、客観的な視点によるマーケティング調査を行うことに。
外部環境分析、内部組織分析から課題を抽出し、NPOのニーズに対応するための方向性と施策候補をまとめました。成果物としては、短期から長期にわたるロードマップを含めた、マーケティング調査報告書を作成。報告書には参考として、海外の事例も取り入れました。
事務局への報告とプレゼンテーションに続き、スタッフとボランティアを対象にしたワークショップ「みなで考える 2018年に山友会をもっと魅力的にする方法」をチームで主催(写真)。団体の強みとその伝え方、課題とその対策について、団体に自ら考え検討していただく機会を設けました。
2年経過した現在、
求められたニーズに対する成果を実感
チームの取り組みから2年。山友会を訪問し、その後の様子を伺いました。大きな変化は次のとおり。
1. 寄付は減少に歯止めがかかり、微増傾向。報告書で提言した寄付者とのつながりの強化に向けて始めた、マンスリーサポーター制度の導入、メールマガジン・機関紙の発行、マンスリーレポートの配布、ニューズレター年次活動報告書の充実、セールスフォースのマーケティングツールを利用した分析とフォローアップが寄与している模様。また、新規寄付者募集に向けては、パンフレットを刷新作成、配布を開始。さらにウェブでの広報の強化を図り、ホームページの更新にも着手していた。
2. プロジェクト終了後から、スタディーツアーを月1回開催。地域住民に加え学生や関心層の30〜40代の社会人などが参加し、地域との交流機会の場となっている。ツアーは、ボランティアスタッフ候補と支援者の獲得にもつながり、ツアーはじめイベントの企画、運営を支援する「広報支援チーム」が発足。サポーターがスタッフを補完する体制が出来つつある。
3. プロジェクト後は毎月、スタッフ、ボランティア参加型のワークショップを開催。事業戦略及び計画、資金調達計画などを皆で考える体制が整いつつある。
設立より30年が経過し、スタッフの世代交代、社会環境の変化に伴う団体へのニーズの変化で、山友会にも変換期が訪れています。プロジェクトを契機として、今後の「フェーズ2」に向けて、課題に対処し発展につながる基盤作りが着々と進んでいました。
※掲載内容は2017年8月時点のものです。