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キャンサーネットジャパン(映像)

 

がんと性の啓発アニメーション動画が完成!
クリエイティブの力でより多くの人へ届けたい

 

NPO法人 キャンサーネットジャパン
プロジェクトの種類:映像
実施期間・エリア:2021年5年~2022年5月(東京)
※本記事は、2024年12月のインタビューを元に作成しました。

 

プロジェクト当時の活動内容

 

がんとセクシュアリティに関する啓発動画を制作

 

「がん体験者・家族・遺族、その支援者、医療者と共に、日本のがん医療を変え、がんになっても生きがいのある社会を実現する。」
そのヴィジョンに向かい、“がん”と診断された方や、そのご家族が病気を正しく理解したうえで、本人の意思に基づいて治療に臨めるよう、科学的根拠に基づくがん情報を広く発信している団体です。
主な活動は、がん医療セミナーの開催、がん情報ナビゲーター・乳がん体験者コーディネーター等の養成講座の開催で、セミナー動画は団体のWEBサイト、YouTubeでも公開しています。

 

今回のプロボノプロジェクトでは、がんとセクシュアリティ(性)に関する啓発動画を作成しました。

 

がんやがん治療に伴う生殖・性的側面への影響は、患者やそのパートナーにとって、生きていくうえでとても大切なことですが、医療者にもなかなか相談しづらく、患者自身が権利を無意識に諦めていたり、自分には権利が無いと思い込んでしまったりしている方が多い状況でした。啓発動画を通して、改善・軽減する方法や工夫があることを広く知ってもらいたい。そして、一人で悩みを抱え込むのではなく、もっと自由に、安心して語り合える環境を作ることで、個人の生活が豊かになり、社会としての生産性も向上していくことを目指し、プロジェクトはスタートしました。

 

 

さまざまなスキルを持ったメンバーが集い、マーケティングから制作へ!

 

プロジェクトでは、まずマーケティングメンバーがアンケート分析や参考動画・資料の調査、経験者・医療者へのヒアリングを行い、インサイトやターゲットについてまとめたマーケティング戦略提案を実施しました。その内容を受けて、次にチームは動画の役割、メッセージ性、インパクト、制作上のメリット・デメリットなどを整理しながら企画をまとめ、キャンサーネットジャパン(以下CNJ)さんへの企画プラン提案ミーティングを実施。団体さんとの質疑応答・ディスカッションのうえ、アニメーション動画を作ることに決定しました。

 

マーケティング戦略提案時の資料イメージ

 

 

そこから、イラストレーター・アニメーターの方々にチームに加わっていただき、シナリオ・絵コンテ・キャラクターイメージをCNJさんへ提案し、決定。音楽制作・ナレーションのメンバーがさらに加わり、監修の医療者の先生からもフィードバックをいただきながら、制作が進んでいきました。
プロジェクトスタートから約1年後となった5月、最終提案を実施。1年をかけて、多くのメンバーに携わっていただき、センシティブなテーマなだけに、たくさんたくさん意見を交わしながら作り上げた動画。見終わったあとのCNJのみなさんの温かいまなざしに、まずはCNJのみなさんに愛していただける作品になれたことを、チームメンバー・事務局ともに実感しました! より多くの方に御覧いただけるよう、YouTube公開時のタイトルや、サイトへの誘導面での課題、リーフレット等のツールについても提案し、納品完了となりました。

 

プロジェクトの様子はこちら
https://www.servicegrant.or.jp/projectslist/cancernet2021/

 

成果物の動画はこちら

 

 

 

 

プロジェクトのその後(支援先団体の声)

 

いつまでも古くならない、スタッフにとっても大切な動画に

 

納品から2年半近くが経ちますが、今も制作いただいた動画はジャパンキャンサーフォーラムをはじめとするイベントの休憩時間などで流しています。
がん治療の経験者からは「自分が苦しかった時、こんな動画が欲しかった!」「やさしいトーンとメッセージに背中を押してもらえる」といった声もありますし、スタッフみんなにとっても、今も大事にしている動画です。たくさん議論も重ねたこと、細かなキャラクターの動きまでこだわってくださっていたエピソードなども含めて、作った過程を一緒に見ているというのはすごく愛着もわきます。ストーリーの中で、パートナーと一緒に考えている感じもすごくよくて、「一緒に考えていいんだ」というきっかけにもなったらと思います。
実際、アニメは非常に使いやすかったですし、今も飽きたり古くなったりしない。また、がんとセクシュアリティを伝える動画は他に出てきていないので、これからも長く使い続けていきたいです。

 

 

時代の波と共に、少しずつ社会が変わっているのを実感

 

この動画をリリースしたのと同時期に、AYA世代(思春期~39歳)への支援が増えてきました。ちょうどこの課題の真っ只中という世代の方たちの性のこと、就労のことなどを支えていこうという機運が高まる中で、タイミングよくリリースできたと思います。日本では、というのはあるかもしれませんが、まだセックスのことやパートナー、恋愛のことは患者さん自身もぜいたくな悩み、医療者にとっても命が一番、と考えるところはあります。それでも、これから少しずつ変わっていこうとするなかで、インパクトがある動画だったと思います。

 

この動画だけの影響ではありませんが、患者会でも性について話をしたりすることが出てきました。口に出していい。そのハードルが下がってきたことは実感しています。
医療現場の現場でも相談されることは増えてきていますが、医療者側の「いつでも聞いてください」という受け皿の整えはまだこれからの部分もあります。それでも、そこに目を向けなくてはいけないという意識はだいぶ浸透してきていることを感じますし、各所でこのテーマを扱いたいという声も増えていて、そんな時にもこの動画は色あせず使えると思っています。

 

 

クリエイティブの力が、伝えづらいメッセージも届けてくれる

 

やはり啓発やメッセージを伝えていくうえで、クリエイティブの力、目に入ってくるインパクトは非常に大切だと思います。手弁当で作るものと、マーケティングから企画、制作まで専門スキルを持った方がやってくださったものは全然違う! インパクトはもちろん、時間がたっても、この動画が飽きられない、古くならないというのも、力のある作品だからだと思います。
特に、がんの話は、聞きたくないこと。聞きたくないことを届けるのにクリエイティブは非常に大切で、一般の方が目を留めてくれるきっかけにもなります。これからもぜひ社会課題解決のために、クリエイティブの力を貸していただきたいです。

 

 

事務局より

 

社会課題の解決は、まずその課題の存在を知る・認知が広がることからはじまります。今回のプロジェクトのように、可視化しづらい多くの社会課題が、クリエイティブの力で可視化され、解決の一助となっていくことを願っています。

 

 

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