社会課題のリアルな現状を知り、それぞれの探求心のもとで設定したアクションに取り組んだ「ソーシャルアクションアカデミー」。2024年度は、5月から開始。多角的な学びを経たのちに夏からは複数のチームに分かれ、ヒアリングや調査分析、実践に取り組んできました。
参加者は、活動を通して、社会課題の複雑さや活動創出の難しさに気づきながら、自分自身の新たなトビラを開き、精力的に活動に取り組みました。
本ページでは、2つのフィールド、9チームの活動成果を紹介します。
Field 1 ひとり親家庭の実情|貧困の連鎖を断ち切るために |
③ 「効果的な世論形成及び政策提言活動」につながるアンケート指針について ④ あなたのまちの子育て支援 ひとり親に温かい支援情報を届ける~現況届提出にあわせた相談会の実施マニュアル~ (ナビゲーター協力:しんぐるまざあず・ふぉーらむ) |
Field 1 「クローズアップ・シブヤ」 のレポートはこちら
※以下の成果物に記載している情報は、2024年12月時点のものです。
Field 2-① 未婚の妊産婦にとって本当に役立つ情報をひとところに
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ひとり親の中でも、特に母子世帯における未婚のシングルマザーの割合が20年で約2倍(4.7%→10.8%)となっていることに着目。平均年間就労収入209万円と経済的に困窮しやすく、相談相手の欠如など社会的孤立に陥りやすい現状を踏まえ、特に未婚の妊産婦の目線に立った情報集約に取り組みました。妊娠前期から産後6ヶ月間に役立つ情報を行政・民間問わず集約し、35ステップに編集したブログを公開。これにより、情報収集の負担軽減、知っていれば制度が活用できたのに…… という機会損失を防ぐ応援になればと願っています。
本成果(資料)を届けたい方
- 未婚の妊産婦の方
- 未婚の妊産婦の支援に関わられている行政、民間団体、助産師の方など支援者
参考文献
[1] 厚生労働省. (2022). 令和 3 年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告.
[2] 厚生労働省. (2017). 平成 28 年度全国ひとり親世帯等調査結果報告.
[3] 東京都福祉局. (2023). 令和4年度東京都福祉保健基礎調査「東京の子供と家庭」
成果物
https://singlemompregnancy.hatenablog.com/
※2月以降に一般公開
Field 2-② パパも子どもも笑顔に!休息と体験の輪を広げよう
「子育ては親だけがすべきもの、という考え方から脱し、互いに頼りあえる社会の実現」を目指し、活動の検討をスタートしました。調査のなかで、ひとり親のうち約11%が父子世帯であるにもかかわらず、母子世帯を前提とした情報発信が多く、シングルファザーにとって受け取りづらいことに気づき、課題と捉えました。
ヒアリングからもママコミュニティには入りにくい、子育て情報を得にくいという声から、“シングルファザーの孤育て”にこそ役立つアクションを検討。「お子さんの体験の輪や経験を広げることができる預け先を提案し、お父さんにも休息の時間を持ってもらうためのマップ作り」に取り組みました。具体的に、メンバーの知人を支援対象として、兵庫県姫路市に絞って各種サービス・施設などを徹底リサーチ。25に厳選した情報リストを簡単に検索できるようGoogleMap上にまとめました。
本成果(資料)を届けたい方
- 姫路市に住むシングルファザー当事者
- 「自分の街でもできるかも」と思う支援者など
参考リンク
[1] 厚生労働省の令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告(令和3年11月1日現在)
成果物
Field 2-③ 「効果的な世論形成及び政策提言活動」につなげるアンケート取得の検討
「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」など、全国でひとり親を支援する35団体が協力・連携し、発信・政策提言に取組む「ひとり親家庭サポート団体全国協議会」が2024年4月 NPO法人化されました。児童扶養手当制度、就労支援、教育支援など協議会が発信する10に渡る「行動計画および要望事項」が、当事者の声を集めた貴重なアンケート結果を裏付けとしてさらに共感と説得力を増すよう、アンケート項目と行動計画の相関を見直しました。
支援の専門家ではないチームの客観的な視点から、アンケート結果のクロス集計の組合せ、グラフのより良い見せ方を検討。各支援団体や協議会が訴えたい要望を補完できるアンケート設計への改善を目指し、①調査対象 ②アンケート項目(聞き方) ③リリース(発表の仕方)等を提案にまとめました。
本成果(資料)を届けたい方
- ひとり親家庭サポート団体全国協議会の加盟団体
- ひとり親家庭の支援者
成果物
Field 2-④ あなたのまちの子育て支援 ひとり親に確実に温かい支援情報を届ける
~現況届提出にあわせた相談会の実施マニュアル作成~
ひとり親家庭サポート団体全国協議会が公表した「ひとり親家庭日常生活支援事業」に関するアンケートを起点に神戸市在住メンバーが兵庫県に問い合わせるなどのリサーチを行った結果、「制度があっても必要としている当事者には情報が届いていない」「知られていないから使われない」「使われないから事業として打ち切られる」といった負のループが発生している現状に気付きました。
ナビゲーターから繋いでいただいた、「しんぐるまざあず・ふぉーらむ・関西・神戸ウエスト」さんから伺った、明石市の「ひとり親総合相談会」を支援の好事例と捉え、そのエッセンスを資料に取りまとめました。年に1度の役所への現況届の提出期間を対面の機会として逃さない。予約なしで相談ができること。ひとり親当事者団体が対応するなど、工夫のポイントが含まれています。
本成果(資料)を届けたい方
- 自治体の長
- 議会の皆さん
- 市役所等でひとり親支援を担当されている方々
成果物
「ソーシャルアクションアカデミー」とは
「ソーシャルアクションアカデミー」は、非営利組織とともにリアルな社会課題解決に挑戦する経験と、エキスパートによる講義やフィードバックを通じてビジネススキルを磨くことを両立する機会を提供する、超実践型アクションラーニングプログラムです。認定NPO法人サービスグラントが主催し、企業人、NPO職員、学生など多様なメンバーがグループを組み、協力者の力を得ながら、自発的に企画したアクションに取り組みました。2024年度のソーシャルアクションアカデミーには57名が参加。45名がアクション実践のフェーズまで走り切りました。
2024年度参加者に聞いた、「ソーシャルアクションアカデミーをひとことで表すと?」
『リアルRPG』 『地図を創る作業』 『自分のハードルを軽く越えさせてくれる羽根』 『自分へと社会への探索』 『良き人たちとの出会い。得がたい体験』 『踏み出せなかった一歩を踏み出せるアカデミー』 『エッジ(境界線)を見れた』 『ソーシャル大海へのサケの集団川下り』 『Sせかいが変わるほど、Aあつく、Aあたらしい挑戦 』 『大きいことをしなくても誰かの役に立てば意味がある』 『温かさが伝わっていく場』 『不知の自覚』 『NPOの方々の熱意に素手で触れる』 『飛び込み台』 『真正のシティズンシップ教育 』 等
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お問い合わせ
ソーシャルアクションアカデミー事務局
(認定NPO法人 サービスグラント内 担当:岡本、柴岡)