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【開催レポート 後編】
地域の課題解決プロボノプロジェクト成果報告会

【開催レポート 後編】
地域の課題解決プロボノプロジェクト成果報告会

 

>>「地域の課題解決プロボノプロジェクト 成果報告会(2018年3月1日開催)の開催レポート-前編はこちら<<

 

 

2-2. 事例紹介(2) 住民のニーズに応える

 

 

<登壇者>
大森本町北町会 北山 輝夫氏
郷地東町連合自治会 中島 岩雄氏
北千束中自治会 山本 公一氏
高島平七丁目町会 中妻 穣太氏

 

——引き続き皆さん、どうぞよろしくお願いします。事例紹介(2)は、住民のニーズを把握したうえで、活動の施策を作っていこうというがテーマです。プロボノとどのような協業をしたか、お話いただきたいと思います。

まずは大森本町北町会の北山さん。地域にはどういう課題があり、その解決に向けてプロボノプロジェクトではどういう支援を受けたかについて教えてください。

 

大森本町北町会(業務フロー設計)
大森本町北町会 北山 輝夫さん

北山さん:これまで町会では、ここ2〜3年、小中学校を中心に、緊急の避難所を開設する訓練に取り組んできました。しかし、震災が発生した時に、要支援者の方をどう救助したらいいのかについては十分検討してきませんでした。そこで、非常時の安否確認や運び出しができる体制を協議することになりました。

 

しかし、中にはプライベートなところに立ち入って欲しくない方もいますので、要支援者として町会にオープンにしてよいという了解を得た方のみを対象にしています。その方たちの安否確認を行う方法、フローの設計をプロボノ(ママボノ)チームに依頼しました。

 

たとえば、要支援者の方が戸建ての方は地域ごとに班長を決め、前後左右にお住いの方を持ち回りでお助け隊に任命しました。マンションにお住いの場合は、両隣がお助け隊メンバーに、フロアで一人が班長になる体制としました。

 

ママボノチームの皆さんには、この取り組み「北町お助け隊」の案内も作成いただきました。住民の方すべてにお配りするもの、支援を受けたいという人にお配りするもの、要支援の人を助けたいという人にお配りするもの、対象別に3種類あります。
こういった町会の活動をまだ知らない方達にも積極的に伝えていくことに気持ちが向いていきました。

 

——プロボノの皆さんが入ることで、様々な刺激を受けたようですね。細かいニーズに合わせてアプローチを変えていく調査ができたということでしょうか。

 

北山さん:文書作成一つとってもニュアンスが難しいんです。しかし、地域みんなで支え合っていこうというニュアンスが伝わる案内を作っていただいた。これが大変ありがたかったです。

 

ーありがとうございました。続いて郷地東町連合自治会の中島さん、よろしくお願いします。

 

郷地東町連合自治会(アンケート活用)
郷地東町連合自治会 中島 岩雄さん

 

中島さん:僕たちの住む昭島市は、東京都の真ん中辺りにあります。昭島市には100の自治体があり、そこに20のブロックがあります。私たちはそのうちの1ブロックで、ブロックの中に11の自治会があります。20年前までは12の自治会があったのですが、一つが休会になりました。それを再開できないか、というのが今回のテーマです。

 

昭島市も高齢化で自治体の会員が辞めていき、役員を受けられないという方が増えてきました。これまで加入を促進するためにチラシを作ったり、「ご近所カード」という地域の商店街で使えるキャンペーンをしたり、いろんな取組みをしてきましたが、若い人たちが入らないという問題がありました。

 

——そのような中、休眠状態になっている町会を復活させたいと。

 

中島さん:そうです。そこが再開して100所帯くらいに入会いただければ、他の町会の加入率も上がるんじゃないか、と思ったのが始まりです。

 

——20年も活動をしていない自治会に人を集めるのはかなり大変だと思いますが、プロボノの皆さんとはどんな話をされたんですか?

 

中島さん:まず、地域の人たちが何を考えているのかを知るために、アンケート作りを行いました。今後はそれを分析していく段階です。
年代などの基本情報の他に、自治体の休眠状態を認識しているかなど、認知に関する質問を考えました。もし再開するとすればどんなことをしてほしいか、などの質問も。調査会社にお勤めの方が2人いらっしゃったので助かりました。

 

——具体的に何が助かったのでしょうか?

 

中島さん:アンケート作りはとても助かりました。アンケートの結果、実は、若い人達も自治体には興味を持っていて、助けたいという気持ちがあるというのが意外でした。若い人は「やりたくない、近所付き合いは嫌だ」という人が多いと思い込んでいたが、話してみると違いました。

 

——そういう若者の姿も活力になるんでしょうね。今後が楽しみですね。ありがとうございました。次は北千束中自治会の山本さんお願いします。

 

北千束中自治会(アンケート活用)
北千束中自治会 山本 公一さん

 

山本さん:この自治会でも少子高齢化という問題があります。私の母校の小学校は5年前の新入生が5人でした。その小学校の近くには東工大があるのですが、東工大とコラボをして「サイエンススクール」という活動を始めました。大変好評で、今度は、東工大のホールを借りて、音楽会を企画しました。これまで、自治会は東工大と協働で3回音楽会を開催しています。

 

その後、防災訓練を開催するとものすごい参加率でした。従前と同じことをやっていてもダメで、違うことを提案していかないといけないなと感じました。

 

プロボノプロジェクトでは、住民の方向けに町会活動に関するアンケート調査を実施する予定です。
アンケートに取り組む背景に、AEDの設置や防火設備、防犯カメラの設置をどうするか、という問題がありました。設置台数を増やすことについての支持がどれくらいあるのか、どういったお金の使い方をしていけばよいのかを把握したい、というのが根っこにある動機でした。今は、マンションでのアンケートの配布と回収が問題です。

 

——どういう作戦をとる予定ですか?

 

山本さん:音楽会でアンケートを配ると回収率がとても高いんです。やはり楽しい内容にしないとダメなんだと思います。音楽会をすると人は来ますし、「良かった」と言われて役員もみんながニコニコする。それが大事なのだと思います。

 

——ありがとうございました。続いて、高島平七丁目町会の中妻さんお願いします。

 

高島平七丁目町会(アンケート活用)
高島平七丁目町会 中妻 穣太さん

 

中妻さん:板橋区の高島平7丁目町会です。高島平は昔、沼地と田んぼだったところに巨大な団地ができ、急速に発展した地です。町会は三田線の線路を挟んで団地の反対側。昔は空き地の中にポツンと数件あっただけの町会でした。そういう成り立ちなので、第一世代の方々はフロンティアスピリッツを持っていて、地域を自分たちの手で作ったという意識が強いです。高齢化が進んでいますが、活動も熱心にしています。
しかし、独身世帯向けのワンルームマンションたち、若い方が急速に増えて変化しています。
必然的に町会加入率が下がり、今は町会会員の世帯は30%を切っています。このままではあと5、6年で町会の運営が費用面でも大変になる。そこで、プロボノプロジェクトを依頼しました。

 

実際にアンケート調査を実施し、何とか120件ほど回答を集めました。今回の調査で良かったのは、未加入者の方からも回答が集まったということです。
また、2,700世帯全戸を対象にすることはできないため、対象をどこに絞るのが効果的かを考えたのもよかったです。一つは、関心はあるがどう加入するかわからないグループ。もう一つは、これまで熱心にやっていたが離れてしまったグループです。

 

今回のアンケートの事前調査では、町会に入るメリットについてすぐに答えられる役員がいないことも分かりました。入って当たり前の世界にいたからです。入って当たり前とは思わない方々に向けた取組みが必要だという結果は非常に大きなポイントでした。

 

——良いきっかけになりましたね。新たな発見が多かったという皆さんのお話が印象的でした。ありがとうございました。

 

 

事例紹介(2) 各町会・自治会からの一言メッセージ

 

——最後に一言ずつお願いします。

 

大森本町北町会 北山さん:
私たち役員が町会の運営のこと、要支援者の方々ことを真剣に考えているということがプロボノの皆さんに伝わり、プロボノさん達からも「各地域の絆は大切だということを学びました」といっていただいたことが大きな励みになりました。

 

郷地東町連合自治会 中島さん:
自治体のメリットとは何だということを真剣に考えて、少しずつでも努力していくことが大切なのだと感じました。

 

北千束中自治会 山本さん:
大災害が起きたときに町内会に何ができるのか、何を準備できるのか。お互いの顔をよく知って、名前を知らなくても顔見知りになることが大事だと思います。これからも、そのような自治会の活動をしていきたいと思います。

 

高島平七丁目町会 中妻さん:
プロボノチームの皆さんには大変素晴らしい報告書をいただきました。私たち町会がここから実際に行動をしていくことが、プロボノの皆さんに報いることだと思っています。ありがとうございました。

 

ーぜひ皆さんのまちづくりに今後も活かしていっていただきたいと思います。本日はありがとうございました。

 

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