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【開催レポート 前編】
地域の課題解決プロボノプロジェクト成果報告会

【開催レポート 前編】
地域の課題解決プロボノプロジェクト成果報告会

 

 

2018年3月1日(木)、「地域の課題解決プロボノプロジェクト」の成果報告会を開催しました。平成29年度よりスタートした本プロジェクトでは、顔の見えるつながりづくり・幅広い住民が関わるまちづくりに積極的に取り組んでいきたい東京都の町会・自治会のみなさまを対象に、会の活動基盤強化を支援しています。

当日は、町会・自治会の方、区市町村の関係者の方、まちづくりや地域の課題解決に関心を持つ方等、多様な背景を持った150名以上の方にご参加いただきました。平成29年度に8つの地域で取り組んだ新たな連携について紹介し、町会・自治会の価値を再発見し、未来につながる可能性をさらに伸ばす機会となりました。

 

 

【開催概要】

日時:2018年3月1日(木)14:00〜16:30
会場:東京ウィメンズプラザ ホール
主催:東京都
企画・運営:認定NPO法人サービスグラント

 

プログラム

  1. 地域の課題解決プロボノプロジェクトについて
  2. 町会・自治会支援プロジェクト事例報告
    2-1. 事例紹介(1) 情報発信を強化する
    2-2. 事例紹介(2) 住民のニーズに応える   

 

 

モデレーター
堀 潤氏
(ジャーナリスト、NPO法人8bitNews代表)

 

 

 

1.地域の課題解決プロボノプロジェクトについて

 

 

はじめに、認定NPO法人サービスグラント代表理事 嵯峨より、本プロボノプロジェクトの概要を紹介しました。「プロボノ」とは、仕事を通じて培った経験・スキルを活かした社会貢献活動のことを意味します。東京の強みともいえる、企業の集積、そして、プロフェッショナル人材の集積を活かして、今年度、8つの地域で、新たな連携の取り組みにチャレンジしました。

 

 

2.町会・自治会支援プロジェクト事例報告

 

平成29年度に実施された8つのプロジェクト事例を紹介しました。前半は、「情報発信を強化する」、後半は、「住民のニーズに応える」をテーマに、各町会・自治会の方に、課題解決に向けたプロジェクトの概要および成果、または経過について発表いただきました。

 

 

平成29年度 プロボノプロジェクト支援先団体

 

※画像はプロボノワーカーと町会の皆さんです

 

井の頭一丁目町会(三鷹市)
マーケティング基礎調査

基礎調査より幅広い住民参加につなげるための広報のあり方に関する調査を実施

 

北新宿二丁目町会(新宿区)
SNS活用

若い世代等幅広い住民に向けたFacebookページを立ち上げ

 

小竹町会(練馬区)
ウェブサイト

活動や会館利用に関する広報活動強化に向け
ウェブサイトを構築

 

足立区町会・自治会連合会(足立区)
チラシ制作

若者や女性等新たな住民に向け町会・自治会の魅力を訴求するチラシを制作

 

大森本町北町会(大田区)
業務フロー設計

災害時の支援についての情報収集・蓄積に必要な作業のフロー

 

郷地東町連合自治会(昭島市)
アンケート活用

休会状態の町会再開についての住民ニーズ・意識調査を実施

 

北千束中自治会(大田区)
アンケート活用

防犯・防災等の活動について住民の理解や要望に関する調査を実施

 

高島平七丁目町会(板橋区)
アンケート活用

住民のニーズや期待、不満や要望等を掘り起こすための調査を実施

 

 

2-1. 事例紹介(1) 情報発信を強化する

 

 

<登壇者>
井の頭一丁目町会 竹上 恭子氏
北新宿二丁目町会 池畑 照子氏
小竹町会 根岸 拓哉氏
足立区町会・自治会連合会 齋京 信江氏

<進行>
堀 潤氏

 

——町会のご紹介と、地域の課題解決に向けて実践されていることについて、お話を伺いたいと思います。まずは井の頭一丁目町会の竹上さん、お願いします。

 

井の頭一丁目町会(マーケティング基礎調査)
井の頭一丁目町会 竹上 恭子さん

 

竹上さん:私たちは、本当に地域で支えあえるような町会にしたいと思っています。ご近所さんのつながりを目指して「みんなのブックカフェ」という交流の場を10年前に始めました。赤ちゃんからお年寄りまで参加できるのですが、参加者になかなか広がりがありませんでした。ブログやイベントで周知したり、パトロールや防災にも力を入れたりしてきたのですが、町会の活動が、なかなか周りに伝わらない。「どういう発信をすればいいか」が課題でした。

 

——せっかく良い活動をしているのに、それが伝わらなかったら広がりを見せない。そこを解決しようと思ったのですね。具体的には、どのようなプロボノプロジェクトだったのですか。

 

竹上さん:ママたちのプロボノ“ママボノ” の皆さんに、『マーケティング調査』として、町内のアンケート調査をしていただきました。普段、イベントに来ている方向けと、町会に入っていない方向けの二種類です。アンケートの回収は、町会の運営委員もここから頑張りました。町会に入ってない方にも、知っている方たちのところを回り、手渡しでアンケートへのご協力を依頼しました。ママボノの皆さんに任せきるのではなく、運営委員である私たちも一緒にやったのだ、と思えたことが大きかったです。

 

——町会のみなさんも目標に向けて努力されたのですね。

 

竹上さん:そうです。ヒアリングもママボノチームと一緒に、本当に楽しくさせていただきました。チームの皆さんもとても協力的で楽しそうにヒアリングをしていました。強制的ではなく、やんわりとした感じでヒアリングをしていたので、たくさんのコメントと素晴らしい意見をいただきました。

 

——ママボノたちと協力して、地域から色んな声が入るようになったのですね。調査の結果、地域のニーズはいかがでしたか。

 

竹上さん:チラシや掲示板が、考えていたより効果的だったことが分かりました。
掲示板の内容をどう改善していくか。プロボノチームに改善提案をいただいて、さっそく掲示板をリニューアルしてみることにしました。

 

ー掲示板のリニューアルをしていこうという話は、調査があってこそだったのでしょうか?

 

竹上さん:はい。プロジェクトの前は、ホームページを作ろうとしていました。しかし、町内の若い人も掲示板を見ていることがわかったのです。

 

——根拠を持った対策を練ったということですね。ありがとうございました。
次は北新宿二丁目町会の池端さん、お願いします。

 

北新宿二丁目町会(SNS活用)
北新宿二丁目町会 池畑 照子さん

 

池畑さん:私たちは都庁に近く、高層ビルに囲まれた新宿区の端の端にあり、約330世帯が住んでいる地域の小さな町会です。ただ、顔を見る関係性ができているかといえば、全員ではありません。全世帯のうち、60世帯くらいが町会員です。
「新しい方たちに町会に参加いただくためには、どうすればよいか」が課題でした。そこで、プロボノの皆さんと、若い人ファミリー向けに、町会の活動やイベント情報を発信するFacebookページの立ち上げを行うことになりました。こちらのプロボノチームも「ママボノ」の皆さんです。町会といい関係でプロジェクトが進められたのもママボノチームの皆さんのおかげだと思います。
実は私たちも、Facebookについてはよく分からないところもあったのですが、ママボノチームが積極的に関わっていただいて、町会のFacebookページ設立を実現するまでの道筋を立ててくれました。「きっと地域にもこういう方達がいるのではないか」。そういう発想に結びつける体験をさせていただきました。「どう発信していけばいいのだろう」と一緒に検討することから初めて、Facebookの運用方法など勉強させてもらいながらつくっていきました。

 

——Facebookページを立ち上げてみて実際どうでしたか。

 

池畑さん:まず、Facebookページの開設を知らせるためのチラシをママボノチームに作っていただきました。掲示板に貼ったり、配ったり、他町会の皆様との交流会の中で話をしたりしました。町会のページにつながるQRコードも載っていて、とても丁寧な作りになっています。本当に一人ひとりの方のスキルが高いので驚きました。

 

——QRコードを使えば、すぐアクセスできるのですね。
実際にママボノの皆さんとプロジェクトを進める中で、どのような発見がありましたか。

 

池畑さん:まず、私たちの話を聞いてくれる姿勢がありました。そのうえで、チラシのデザイン等の形になっていて、私たち皆本当に嬉しかったです。

 

——ありがとうございます。続いて、小竹町会の根岸さん、お願いします。

 

小竹町会(ウェブサイト)
小竹町会 根岸 拓哉さん

 

根岸さん:私ども小竹町会も、やはり若い世代の加入率が下がっています。若い人の会員をいかに増やすかが課題です。また、新しい町会の会館の利用者を増やしたい、様々なイベントを実施していきたい、イベントに関わる人を増やしたいとも思っていました。そこで、小竹町会や町会会館、イベントの紹介をすることを目的とした、若い世代向けのウェブサイト構築を依頼しました。

 

——プロボノチームはどういう方々ですか?

 

根岸さん:IT企業勤務の方やエンジニアの方、営業の方、ウェブサイト構築の仕事をされている方様々です。ウェブサイトを構築していく中で、私たちも町会の方々の話を聞きながら昔の写真や旗を出してきて、ロゴマークにも活用しました。これらもサイトに活かすことになりましたが、自分たちの情報整理のきっかけにもなったと思います。

 

——地域の細かな情報やストーリーといったコンテンツをインターネットで発信するという、地域ウェブ新聞が人気を集めています。小竹ネットは、まさにそんなメディアとして作成されていったのでしょうか。

 

根岸さん:そうですね。あとは運用者と利用者の利便性を考え、会館利用を増やすためにウェブサイトから予約可能にしたり、空き情報を見られるようにしたりして、ウェブサイトを情報発信の窓口以上のものにしていただきました。これからは、町会費の支払方法を増やせるようにしたいと考えています。町会に関わりたくても実際には参加が難しい人もサポートを検討してくれる人はいるのではないかと思っています。

 

——根岸さんは、かなり若手の方だと思いますけど、それでもプロボノチームにきていただいてありがたかったですか?

 

根岸さん:そうですね。地域にも様々なスキルをもつ方はいらっしゃって、有志の方を集めて「こたけくらし」という雑誌を作りました。ただ、ウェブサイトを作れる方はおりませんでした。ですので、プロボノのみなさんと繋がって非常に助かりました。

 

——これは大きなポイントですね。地域の方々や自治体と協力し合っている町会・自治会もありますが、地域を超えて色んなスキルを持っている方とも協力しあえればいいですね。

 

根岸さん:そうですね。町会の課題を伝えて、その課題を解決してくれるプロボノの方の力を借りれるのはすごく助かりました。

 

——ありがとうございました。続いて、足立区町会・自治会連合会の齋京さんお願いします。

 

足立区町会・自治会連合会(チラシ制作)
足立区町会・自治会連合会 齋京 信江さん

 

齋京さん:足立区町会・自治会連合会です。足立区内の町会は436町会ありますが、そのうち385町会が連合会にはいっています。
連合会の課題は大きく二つあります。一つは町会自治会の加入率が年々減少しており、会員をどうやって増やしていくか。二つめに、町会自治会の役員の高齢化、次世代の役員を担う若手がいない、という問題です。そこで、あまり町会・自治会に興味を持っていないと思われる若い人や、外国人をターゲットに絞り込んだパンフレット作りができないかを、プロボノの皆さんと一緒に考えていきました。

 

——具体的にはどうアイデアを出していったのですか?

 

齋京さん:実は、チラシ自体は毎年力を入れて作っていました。3.11をきっかけとして、防災を目玉にしたインパクトのあるチラシを作ったのですが、加入促進には至りませんでした。
今回は、プロボノ方と一緒に、未加入者や外国人の方にアンケートをとることからはじめました。アンケートの結果から、どういったことが問題で、どうして加入してもらえないのかを見据えてパンフレットを作ることができました。
例えば、実は、「町会に入りたいのに加入の方法がわからない」という方もいらっしゃることに、私たちも気づかずにおりました。そういう方に向けて、入会の申込みの方法や申込フォームへアクセスできるQRコードを掲載したパンフレットができました。

 

——これまでのチラシも加入方法の欄があったと思いますが、一番大きな違いは何でしょうか?

 

齋京さん:これまでは、まず「手に取ってもらうためのもの」でしたが、今回は「読んでいただく」ことを意識して作りました。若い人や女性、外国人に焦点を合わせて、気軽に町会へ入っていただく環境を作ったところが大きいです。ここはプロボノさんに言われて、私たちも初めて気づいたことでした。申し込み用紙をわかりやすく書き込めるものに変えたり、町会に入っていない方にも、関わり方が分かるチャートを作ったりしました。

 

——効果や手応えはありますか?

 

齋京さん:かなり期待できるパンフレットができたと思います。インパクトというよりも手にとって読んでもらえる、加入したいなと思えるものになったと思います。とても良いものができたので、今度は丁寧に配って行きたいと思います。

 

——どんな広がりを見せるのか楽しみですね。

 

 

事例紹介(1) 各町会・自治会からの一言メッセージ

 

嵯峨:事例紹介(1)は情報発信についての特集でした。プロボノプロジェクトでは、単に「チラシやパンフレットを作った」のではなく、ヒアリングやアンケート調査を通して、地域の声を発掘するようなこともしていました。表面的なところではなく、地域の深い部分を理解していったところが、町会・自治会の皆さん側の気づきにもなったのではないでしょうか。

 

——最後に皆さん、一言ずつメッセージをお願いします。

 

井の頭一丁目町会 竹上さん:
プロボノの皆さんの熱意がすごくて、中には、5時間もの会議をすることがありました。そして、運営委員が彼らの話を聞いて、その熱意に答えたい、実現したいという思いに至りました。プロジェクト終了後、町会のFacebookページ立ち上げに取り組みました。週二回更新して、定期的に改善をしています。プロボノチームの熱意が、私たちを動かしたんです。町会がプロボノプロジェクトに参加したことで、私たち町会が本気で取り組んでいることを住民の皆さんに示せたと思っています。若い方達からも、「一緒にやりたい」「手伝えることがあったら言って」という声があがり、町会活動への参加者にも広がりが出てきました。

 

北新宿二丁目町会 池畑さん:
プロボノワーカーの皆さんと最初に出会った時に、「あなたはどんな町に住みたいですか」と質問しました。その際、「子育て世代と先輩世代が、楽しく、美味しく、学ぶイベント作りを希望しています」というメッセージをいただきました。これからは、そんなイメージに少しずつ近づけていけるように、明るい町会を目指したいと思います。

 

小竹町会 根岸さん:
プロボノの皆さんには、本当にお忙しい中で時間を作っていただいて、町会員も刺激をもらったと思います。私自身もそうですが、若者に任せてもらったな、若いアイデアを生かしてもらえているな、と感じました。それが町会のいいところだなと思っています。私自身、今後も町会のために、町のために活動していきたいと思います。

 

足立区町会・自治会連合会 齋京さん:
プロボノワーカーの方々に新たなノウハウを示していただけたことがありがたかったです。上下関係や雇用関係にない中で、メンバーの皆さんがご自分の意見を持っていたので、そこが勉強になりました。本当に効果が期待できるパンフレットができたので、大事に丁寧に配布していこうと思います。このプロジェクトに参加できてよかったです。

 

「事例紹介(1) 情報発信を強化する」は以上です。

 

>>【開催レポート-後編-】  「2-2. 事例紹介(2) 住民のニーズに応える」はこちら<<