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リフレクションで深める越境経験

 

 

国内最多のプロボノ実績を誇るサービスグラントが提供する越境学習「プロボノリーグ」。2022年度はオンライン活動をメインとし、現場見学は対面にて開催しました。

 

日常と異なる環境だからこそ得られる自己認識と自己発見、異業種混成チームでの共有とコラボレーションから生み出される成果について、2022年プロボノリーグのレポートを通じてお届けします。

 

目次

2022年プロボノリーグの概要

成果物と参加者の活動の様子

自己変容と行動変容を導く仕組み

リフレクションで深める越境経験

 

 

2022年プロボノリーグの概要

 

プロボノリーグは、複数の企業から集まった社員で異業種混成チームを組成し、NPOや地域団体の組織運営上の課題解決を目指す「アクションラーニング形式」の研修です。2022年度は若手・中堅社員に加え、リスキリングを目的としたシニア社員も参加されました。

 

約 1ヶ月半の期間で、終日参加の4回の集合研修(オンライン)と、集合研修の間の期間でのチーム活動(オンライン)、そして支援先団体への見学やヒアリング(対面)を通し、NPOや地域団体の抱える課題の真因を探り、その解決策である具体的な成果物を作り上げました。また、参加者同士の相互作用を通じて、個人の行動やマインドの内省を深め、プログラムの学び・気づきの定量的なフィードバックを行いました。

 

2022年のプロボノリーグでは、金融・医薬品/医薬部外品・製造業・建設業等の6社から17名の方が参加され、2つの支援先団体に向けて、それぞれ2つのチームが支援先団体の課題解決に取り組みました。

 

今回の支援先は、病気や障害のある子どもとその家族を応援する団体「認定NPO法人スマイルオブキッズ」、広島県尾道市瀬戸田町で地域の活性化を目指して活動されている団体「シトラスパーク瀬戸田」の2団体です。

 

成果物と参加者の活動の様子

 

Aチームの成果物

Bチームの成果物

 

Cチームの成果物

Dチームの成果物

 

各チームは、課題解決に向けたスコープを設定し、活動計画を立案し、支援先団体の真の課題を解決するための成果物を提供します。調査やヒアリングを行いながら得た情報をもとに、いかに支援先団体にとって利用しやすく、活動の今後の一歩を後押しする成果物を提供できるかは、研修の効果を測る上でも大きな意味があります。 

                                                                                      

成果物について「スマイルオブキッズ」の谷畑さんのコメントです。

 

団体の各スタッフの頭の中にある考えやアイディアを整理することができました。提案いただいた成果物は、これが欲しかった!と思うものばかりです。温かさを維持しながら団体運営をしている中、企業勤務の皆さんの視点や気づきはこれからの活動を進める上での学びとなりました。

 

成果物について「シトラスパーク瀬戸田」の淺野さんのコメントです。

 

なぜ私達がこの活動や事業を行っているのかを、現場の実情まで調べ理解をした上で提案をしてくれました。短期間で能動的に活動いただいた行動力には脱帽です。団体に今必要なことの提案、一歩先を見据えた提案は、短期長期の観点から今後の団体運営に大変助かるものです。

 

普段仕事で行っていることや企業人としての視点が、NPOや地域団体にとって新鮮でありながら団体の運営基盤強化に役立っていることがわかります。これは、日頃関わることのなかった団体に対し、同じ目線に立って調査や討議を行い、社会課題に正面から取り組んだ結果といえます。

 

プロボノリーグ終了後に、参加された企業の窓口担当者の方から、参加社員のプロボノリーグの活動中の様子や終了後に見られた変化について、次のようなコメントをいただきました。

 

越境学習の環境から「学び」「変化」「活力」の学習サイクルの最初のトリガーを引いたのではと感じています。「学び」 – チームビルディングによる全員の納得、多様な視点の理解と尊重。「変化」 – 価値観の違いや協働の中での各個人の変化。「活力」 – 自己肯定から得られるイノベーション力の向上。

 

プロボノリーグ終了後の理想的な行動変化だと思ったのは、サステナビリティな社会貢献を実践しはじめた社員がいることです。無理をしない範囲で、しかし継続性をもって活動することが社会貢献に関わる姿勢として大切だと認識しました。

 

初めて会う人と、それぞれの強み弱みを理解し尊重し合いながら進めていく環境が貴重だったようです。社内でもそのような環境への工夫はしていますが、社外の全く違う価値観の人と会うことから、自分の強み弱みがより見え、上下関係も主従関係もない環境で、自分ができることを請け負い、気持ちよく仕事ができる環境が得られたのだと思います。

 

越境学習を経験し、自社のチーム内でも自らリーダーシップを発揮することの大切さを理解したと言う声を複数から受けました。また、越境学習の場で、自社の価値を改めて理解し、自身の価値と伸びしろが具体的に見え、成長するための課題を持ち帰ることが出来たという感想が印象的です。

 

普段と異なる環境だからこそ、自身の行動についての周りの人との認知ギャップを捉えることができ、新たな自己を生み出すきっかけになったり、経験を共有するチームメンバー同士で意味づけをしながら協働することで、高いパフォーマンスを発揮できていることがわかります。そしてこの経験が企業に戻ってからも活かされていることがわかります。

 

 

自己変容と行動変容を導く仕組み

 

 

プロボノリーグでは、参加者一人一人がそれぞれの価値観に基づき目標を立て、プログラムにのぞみます。プログラム期間中、目標との乖離から内省を繰り返し進めていきます。以下にその行程で生じた変化などが分かる、参加者のプログラム参加後のコメントをご紹介します。

 

社内ではプロジェクトに携わる機会がなかったので、プロボノリーグの経験は試行錯誤の日々でしたが、自分で考えた方法をメンバーが受入れ感謝してもらい、自信がもてました。会社とは違う環境だったからこそ挑戦できたと思っています。

 

普段は自分一人で仕事を進めてしまうことが多いのですが、メンバーの意見を聞きながら、メンバーのスキルを活かし、かつ自分の強みを活かして仕事を進めていくことの大切さを、実践から学びました。

 

他企業の方との活動で、自分は井の中の蛙だったなと思いました。自分よりスキルや経験を持っている人がいること、自分の役割はこうだと決めつけていることがあること、自分では当たり前の行動が評価されること、そういったことに気づける場でした。

 

 

リフレクションで深める越境経験

 

プロボノリーグでは、期間中に「リフレクション」の機会を設けています。個人やチームの振り返りを行うことにより、失敗体験・成功体験から教訓を獲得する力を高め、強みを引き出し、自ら主体性を持って動くチームを作ることを可能にします。

1. 活動の振り返り

チーム活動時に自分達が経験した出来事を共有し、何が行えたのか、何が行えなかったのかを客観的に事実として捉えます。
2. 環境の振り返り
出来事の背後にある因果関係を考えます。うまくいった背景、うまくいかなかった背景を、個人や他者の背景や環境に照準を合わせて振り返ります。

3. 自己の振り返り
自分の活動や行動について振り返ります。自分の活動や行動の適切性、その状況下での自分の役割は何だったか、という点を意識します。「うまくいったこと」「うまくいかなかったこと」「改善事項と今後も続けたいこと」「その時の感情」を言語化し、自分のどのような行動によってその結果がもたらされたかを振り返ります。チームにとって、個人にとって、より良い活動に結びつく次のアクションへつなげていきます。

 

客観性と主体性をもちながら、失敗した経験を振り返ることで成功につなげ、その成功を振り返ることからさらなる成功に結び付けるというサイクル=リフレクションを取り入れることにより、越境体験をより効果的に人材育成として役立てることが出来るのです。

 

今、企業や組織で働く人材を資本のひとつとして捉え、人材価値を最大限に引き出すことによって、社員の中長期的な成長を促す取り組みが求められています。さまざまな価値観や経験・考え方を受け入れ、相乗効果を生み出し、新たなイノベーション創出を可能とする環境と仕組みを、プロボノリーグでは、越境学習・異業種交流・リフレクションという視点で提供しています。

 

企業の社会課題への取組みの推進、企業の価値の訴求、人材育成の要素を柔軟に取り組みながら、プロボノリーグは常に進化しています。次年度のプロボノリーグにも、ご期待ください。

 

 

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