東京ホームタウンプロジェクト参加者インタビューvol.1
「いくつになっても、いきいきと暮らせるまちをつくる」を合言葉に、都内で地域福祉のために活動するNPO・地域団体を応援している「東京ホームタウンプロジェクト」。ビジネスパーソンのみなさんにも、ここ東京を自分のまち=ホームタウンとして感じ、東京との新しい関わり方を見出していただきたいとプロボノ活動への参加をよびかけています。
2015年度 東京ホームタウンプロジェクトのうち、長期プロボノ支援で地域づくりの基盤強化を応援する「ホームタウンプロボノ」に参加中(当時)のプロボノワーカーのみなさんにお話を伺いました。
社会福祉法人 楽友会 マーケティング基礎調査プロジェクトに参加して
話し手
-アカウントディレクター(AD)山田さん:写真右
-プロジェクトマネジャー(PM)角永さん:写真左
1.プロジェクトにおける役割と、普段のお仕事の内容を教えてください。
山田さん:楽友会様向けのマーケティング基礎調査のプロジェクトでアカウントディレクターを担当しています。普段は、電機メーカー系企業でクラウドサービスのプロジェクトマネジャーの仕事をしています。
角永さん:楽友会チームでプロジェクトマネジャーを担当しています。仕事はお休みをしていて(当時)、ビジネススクールに通いながら家業を継ぐ準備をしているところです。
2.プロボノ活動を始めようと思ったきっかけや想いをお聞かせください。
山田さん:子供が生まれた時に意識が変わって、自分が生きている間に何か社会貢献しておきたいという思いが強くなりまして、本業でもやっているプロジェクトマネジメントスキルが活かせる、このサービスグラントのプログラムに登録しました。やってみたら非常に前向きな方がいっぱい参加されていて、結果7年引き続きやらせてもらっています。
角永さん:仕事を辞める前はITのエンジニアとして、スキルを持って人や社会の役に立ちたいということを目標にやってきました。しかし、営利企業の中では、自分の力不足ではあるのですが、人や社会の役に立つことが自分なりにどうしてもうまく出来ないとの想いがありました。そうした中でサービスグラントの活動を知って、共感できるNPOさんに対して様々なスキルを提供するという理念が、自分が考えていた「スキルを持って人や社会の役に立つ」ということを実現できる場だと感じ、それが始めるきっかけになりました。
3.楽友会について少しお話いただきたいのですが、担当されている支援先はどのような団体で、解決したい課題は何ですか?
角永さん:楽友会は主に高齢者福祉に携わっており、多摩センター駅から徒歩15分くらいの位置にある、わりと大きな施設を運営しています。養護老人ホームやデイサービスを展開し、多摩地域の中核的な高齢者福祉を担う団体さんです。
団体さんとしては、老人ホームを利用する方だけでなく、多摩地域の高齢者福祉に広く役立ちたいという高い志を持っていらっしゃいます。多摩の地域に住む人たちが、どういうニーズを持っているか、それが楽友会としてどういう風に携わることができるかを検討したいが調査には至っていない、というのが楽友会さんの課題です。そこで、近隣の多摩地域、そして多摩ニュータウンの住民にどういうニーズがあるかについて、今チームで調査を行っています。
4.なにかよい解決方法は見つかりそうですか。
山田さん:コンビニエンスストアのような、様々な方が様々な使い方ができる施設を目指しており、そのニーズをもっと深く知りたいと思っています。実際に予防体操や様々なクラブ活動を解放しているのですが、地域の人が期待以上には集まっていないという現状があり、本当はどういうニーズがあるのかを知りたいという話になっています。地域の人は、老人ホームを、あまり“入ってはいけないところ”という風に思っている方も多く、それが一つ大きな壁になっていると感じています。
5.実際に取り組まれてみて、嬉しかったことや楽しかったことはありますか。
山田さん:私は今回のプロジェクトの話を聞いた時に、多摩が日本で有数の高齢化問題を抱えている地域だというイメージがあったので、現実となった高齢化問題を見て確認することに興味がありました。最初に楽友会さんにヒアリングした時にも、色々なデータや現状をお聞きし、学べたのが楽しかったし面白かったです。
角永さん:支援先とメンバーとの関わりが一番嬉しかったし楽しかったところです。支援先もプロボノメンバーも両方ともボランティアとして団体に関わっていて、支援先に訪問した時もとても親切に説明し、色々なところを見学で見させていただき、本当にありがたいと思っています。メンバーにしても、仕事が忙しいなか毎週打ち合わせを実施でき、皆の想いみたいなものが感じられるのが嬉しいところです。
山田さん:ある意味、日本の高齢化問題の最先端ともいえる地域で、その状況を具体的に確認できることは非常に興味がありました。ここでの成功事例は他の地域でも展開できる可能性があり、今後の日本の高齢化問題に大きく貢献できると思います。
▲楽友会の職員の方から話を伺うプロボノチーム
6.反対に大変だったことはありますか。
山田さん:一つ大きくあるのが、場所まで遠いことです。多摩センター自体駅が遠い上に、駅からも結構歩くので大変です。
角永さん:正直なところPMとして仕事でやっていた時の成果物のレベルから比べると時間的にも割くことができないので、どう質を担保していくかが悩み。頻繁には全員が集まれない中でどうやって成果を出していくかが苦心しているところです。
7.プロボノ活動を通じてあなたが得ているものは何でしょうか?
山田さん:プロボノは7年とだいぶ長いことやっていますが、前向きな方とのコミュニティや繋がりを得られることが一番のモチベーションになっています。仕事では出会えない方と出会えることも魅力です。
角永さん:前向きなエネルギーを持っている方々とのネットワークです。また、ハイパフォーマーな方や、デザイナーやコピーライターの方など、仕事では出会えない方とご一緒することで、便利なツールなどがわかって、勉強になることが多いです。
また、プログラム的に顧客に近い立場となるNPOの方とのやり取りからは、効率化だけを追い求める企業のやり方では限界があり、理念もまた人を動かすのに必要だと改めて感じさせられます。
さらに、人や社会に役に立つ目標に向かって進んでいける場にいて、それが実際にできる嬉しさがあります。目的をもった人達と関わることができるのが良いと思っています。普段は出会うことができない人達に出会える、相互理解を深めることができます。人と出会うこと、目的を持って人と出会えることができること、これがプロボノ活動を通して嬉しかったことです。
8.最後に、メッセージをお願いします
山田さん:プロボノ活動は普段の仕事では得られない出会いもありますし、本業とは違ったコミュニティで活動することで、新たな自分の顏を持てることになるので、これまでプロボノをやったことのない方は面白さを感じていただけるのではないかと思います。本業ではなかなか得られないものがプロボノでは得られると思いますので、是非挑戦してみて欲しいと思います。
角永さん:プロボノに携わりはじめて、本当にプロボノの活動はいいなぁと思っていて、これからは、ぜひ広める手伝いもしたいなと思っています。今後プロボノが社会に広がったところまでイメージするとワクワクします。
>> 社会福祉法人楽友会マーケテイング基礎調査プロジェクト詳細はこちら <<
東京ホームタウンプロジェクト紹介動画もあわせてご覧ください
なお、このインタビューの一部は、東京ホームタウンプロジェクトの活動概要を紹介する動画でもご覧いただけます。プロジェクトの目的や、誰がどう関わっているのか、プロボノによる実際の支援プロジェクトの様子などなど、2015年度の活動全体が凝縮されているこちらの動画、是非あわせてご覧ください。