MENU
ログイン
プロボノワーカー
のみなさん
団体
のみなさん
閉じる

一色義直さん(公務員、プロジェクトマネジャー)

「地元・地域の未来」と、「自分自身の気持ちよさ」の二軸。

 

 

一色義直さん(埼玉県所沢市役所)

プロボノでの役割:プロジェクトマネジャー、アカウントディレクター

参加プロジェクト:2016年 横浜YWCA(印刷物)

2017年 情報ステーション(マーケティング基礎調査)

2018年 東京ホームタウンプロジェクト リンク東山(ウェブサイト)

2019年 東京ホームタウンプロジェクト 社会福祉法人六踏園 調布学園・第二調布学園(営業資料)

2021年 東京ホームタウンプロジェクト大学院 身近な公園をハブとした、地域の“おたがいさま”を生み出す仕組みづくり

 


 

1996年入庁 事務職
保健・福祉系職場を経験し、現在こども未来部こども政策課に在職(2022年2月現在)

2016年からプロボノ活動を始め、 NPO支援や東京ホームタウンプロジェクトでの地域団体への支援など、数多くのプロジェクトに参加している。

これまでのプロボノの経験

 

――これまでにどんなプロジェクトに参加されましたか?

 2016年に初めて参加したプロジェクトは、100年くらいの歴史ある横浜YWCAさんでした。色々な理由で傷ついた女性一人一人に寄り添って、失われた力を取り戻せるよう、女性支援やアドボカシー活動に取り組まれています。横浜スタジアムや横浜中華街なども近い好立地にある4階建てのビルの1階に「花花カフェ」という就労移行支援の拠点があります。

 プロジェクトでは、このカフェへの集客支援につながるチラシの作成に取り組みました。期間は約6ヶ月、メンバーは6人、商品プロモーション、マーケッター、経営戦略や、コピーライティング、デザイン、広告媒体を扱うお仕事をされている方など、それぞれ専門的なスキルを持つメンバーの中で公務員がひとりという構成でした。

 

 どんな人にどんな情報を届けるのかマーケティング調査に取り組んだ他、メンバーの中に撮影が得意な方がいて、カフェで料理を担当するボランティアのお母さん達が作ってくれた料理の撮影現場にも立ち会えました。照明の調整や食器のレイアウトなど、気を配るところが本当に色々あって正直すごいなと。撮影した写真はパンフレットだけではなくウェブサイトにも活用されています。

 

横浜YWCAのプロジェクトの写真

 

 プロジェクトの中で本質的な課題について一緒に考えることもできたし、出来上がったパンフレットによって、働いている方が自分がおしゃれで素敵なところで働いていると自己肯定感が高まって、お客さんも来てくれて、団体さんも喜んで・・・と本当に良い循環を実感できる経験となりました。

 

 その後、5-6年の間、サービスグラントを通じて多くのプロジェクト経験を重ねながら、地域でも自分で関わるイベントが増えて行ったのが事実で、いいきっかけだったなと振り返っています。

 

情報ステーションのプロジェクトの写真

 

 2プロジェクト目は情報ステーションという民間図書館の取り組みに関わりました。20代の若い世代が立ち上げ、千葉県の船橋市の駅前などの行政施設で、古本をもらってきて貸出しを行いながら、まちづくり団体を志向している団体でした。本をきっかけにしたワークショップや、地元のお祭りの手伝いなど色々な活動をしていたのですが、ウェブサイトの掲載情報がわかりにくく、その課題解決に取り組みました。

 

 3プロジェクト目は、高齢者が集う施設の管理を担うリンク東山という団体のウェブサイト改善でした。ご高齢の運営団体の方でも情報更新できるよう一緒に操作方法をお見せしたり、理事の方々にスマホの使い方をお話したりしました。

 

 最後は東京ホームタウンプロジェクトで関わった調布学園と言う児童養護施設のプロジェクトで、家族と一緒に住めない子どもをお預かりして暮らす施設が、寄付や物、人的資源の支援を受けるための営業資料作りを進めました。完成した施設のお披露目会に先日呼んでいただいて、地域に施設を開放する様子も見てきました。

 

↑東京ホームタウンプロジェクト 調布学園のプロジェクトの写真

外に出る、世の中を知る

 

――プロボノプロジェクトに参加された感想は?

 公務員としての仕事の中では、市民からの苦情を受けることもしばしばあります。そうすると、市民の方は公務員に悪い印象を持っているのかな、と自分自身にバイアスがかかっていたのですが、外に出ていくと逆に、公務員に対して好印象を持っていたり、安心してもらえたり、歓迎してもらえることの方が多いんだな、と思いました。

 

 横浜YWCAさんのプロジェクトでは、それぞれに専門的なスキルや経験が光るメンバーの中で、当時、私は生活保護のケースワーカーをやっていたので、困りごとがある人の気持ちや、就労支援に取り組む法人側の気持ちをチームの中で1番理解できる経験がありました。また、社会保障の仕組み、困った人はどんな気持ちなのかという、これまでの知識をメンバーに伝える所で、仕事の経験は役に立ったと思います。

 

――職場の上司や同僚などにプロボノ活動について話しましたか?公務員の仕事やネットワークにその後、役に立ったことはありますか?

 プロジェクトに参加することになって、後から職場には報告しましたが、特に問題はありませんでした。組織での評価に繋がるかについては、自分から「やっています」と言えば評価されるとは思いますが、ボランティアな取り組みなので、自分次第かなと思います。

 

 プロボノに参加をして世の中のことを学べたなと思っています。サラリーマンのカルチャーがちょっと分かったというのか。アサイン、スコープ設定、プロジェクトを握る、マージなど、使う言葉一つとっても、公務員の世界にはない世の中を少しずつ知っていった印象です。市民の皆さんと日々の仕事で向き合っている中で知っているつもりでしたが、ビジネスマンの習慣を本当に知らなかったんだなぁ、と分かりました。Slack、Zoom、Googleなどプロジェクトで使うアプリを新たに覚えて世の中の発展を知るという側面もありました。

 

プロボノは、風天の寅さんのようだ

 

――どうやって時間を生み出していましたか?業務とのバランスやプロジェクト後のつながりは?

 サービスグラントの場合には、週5時間という活動の基準時間が決まっていて、業務がマニュアル化され、チームをコントロールする役割のメンバーもいるので、プロジェクトの破綻、途中の中止は限られたケースになると思います。プロジェクトにもよりますが、終わった後も支援先ともメンバーとも繋がりはあります。チームメンバーで、法人の理事や監事にスカウトされて兼業される方もいらっしゃいました。また、サービスグラントの事務局との繋がりからは常に刺激をいただいていて、大事にしています。

 

 プロボノを体験した印象としては、「男はつらいよ」の寅さんに自分がなっている感じなんです。地元ではない外に出て、景色の綺麗な所に行って、人と交流して楽しんで帰ってくるストーリー。多幸感に満たされて、支援先で訪れた横浜、船橋の街が好きになったり、勝手に第二の故郷の思い入れにつながるのですよね。公務員の立場として、うちの街を好きになってくれるのかなぁと思うと、自治体としてプロボノを取り入れて、愛着を持ってもらえるのもいいなと思ったりします。参加するプロボノメンバーとして、公務員として、両方の立場でプロボノを楽しむ、活かすことを考えられるといいかなと思います。


 

▼プロボノでのプロジェクト参加へご関心をお持ちになった方は、こちらのページも併せてご覧ください。

▼プロボノ参加者向け説明会を随時行っています。以下より日程をご確認ください。

「プロボノ参加者向け説明会」

 

※本レポートは、2022年1月22日開催、サービスグラントでのプロボノ経験を持つ公務員有志に夜イベント「今も未来も変えられる、公務員プロボノという選択肢。」(https://probono-by-komuin-vol1.peatix.com)の内容を編集しました。

※プロボノとは・・・「公共善のために」を意味するラテン語「Pro Bono Publico」を語源とする言葉で、【社会的・公共的な目的のために、職業上のスキルや専門知識を活かして取り組むボランティア活動】を意味します。詳しくはこちらをご参照ください。

SHARE ON