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【開催レポート】千葉県
地域包括ケア×プロボノセミナー:多様な主体の参加による地域づくり
実践から得られた成果と課題

【開催レポート】千葉県
地域包括ケア×プロボノセミナー:多様な主体の参加による地域づくり
実践から得られた成果と課題

 

 

本ページのコンテンツ

  • (1)フォーラム概要
    1.はじめに 〜プロボノとは何か〜
    2.基調対談
    3.事例紹介
      - 平成29年度プロボノプログラム
      - 各プロジェクトの概要
      - トークライブ
  • (2)質疑応答

 

2018年1月31日(水)、千葉県初のプロボノプロジェクトの成果と課題を共有するイベント「地域包括ケア×プロボノセミナー:多様な主体の参加による地域づくり実践から得られた成果と課題」を開催しました。

 

 

当日は、企業・地域団体・市町村の地域包括ケア関係者の方等、多様な背景を持った60名以上の方にご参加いただきました。プロボノプロジェクトに参加した団体・企業人の皆様の生の声を届け、新しい「多様な主体による地域づくり」の方法としての「プロボノ」について広く知っていただく機会となりました。

 

 

(1)フォーラム概要

 

1.はじめに 〜プロボノとは何か〜

 

 

プロボノとは何か、本年度のプロボノプロジェクトの概要を紹介しました。
(進行:認定NPO法人サービスグラント代表理事 嵯峨)

 

>>資料ダウンロードはこちら(PDF:2.75MB)<<

 

2.基調対談

 

 

【登壇者】
奥山 俊一様
認定NPO法人プラチナ・ギルドの会 理事長
(株)日本総合研究所 特別顧問

【聞き手】
嵯峨 生馬
認定NPO法人サービスグラント 代表理事

 

人生100年時代といわれる今日、健康的で充実した人生を過ごすには、多様な形で社会に繋がることが大切だといわれています。特に退職前後の時間を、今後私たちは、どのようにデザインしていけばよいか。そのヒントを「認定NPO法人プラチナ・ギルドの会」理事長、奥山 俊一氏に伺いました。

認定NPO法人プラチナ・ギルドの会では、地域で活躍するシニアの人々を表彰する「プラチナギルド・アワード」を毎年行っており、シニアのプロボノの普及啓発活動やアドボカシーに努めています。

>>プラチナギルドの会ホームページはこちら<<

 

対談では、これまでのプラチナギルド・アワード受賞者の方々を中心に、在職中からボランティア参加をしていたNPO法人に退職後スタッフとして入職した方、起業した方等の多くの方の活動事例を紹介いただきました。

 

 

3.事例紹介

 

平成29年度プロボノプログラム

 

本年度は、4つの地域福祉団体を対象に、約2か月(2017年11月〜2018年1月)の期間をかけて、プロボノによる支援を行いました。事例紹介では、支援先団体、プロボノワーカーのみなさまに、それぞれの体験や感じた事、プロボノプロジェクトに参加して生じた変化等を発表いただきました。

 

 

各プロジェクトの概要

 

●千葉市社会福祉協議会 加曾利地区部会

 

【団体概要】
健康づくり、福祉施設と交流、サロン活動等、多岐にわたる活動を実施している中で、特に、庭木の剪定や家具の移動など住民の困り事に応える有償ボランティアサービス「助けあいの会」の活動に積極的に取り組んでいます。
【プロボノチームの活動】
若い世代などに有償ボランティアの担い手を拡大するために効果が期待できる施策を検討・提案しました。

 


 

●NPO法人 スマイルクラブ

 

【団体概要】
日本の高齢者、障がい者が元気に生活し、イキイキと仕事が出来る「スマイルタウン」の実現を目指して各種スポーツ教室を運営しています。
【プロボノチームの活動】
まだ認知症や転倒予防へまだ意識を持っていない層を取り込むためのプログラムやスポーツ活動について、ニーズを調査し、具体的な施策について検討・提案しました。

 


 

●浦安介護予防アカデミア

 

【団体概要】
介護予防に必要と言われる項目を網羅するウォーキング班、栄養班、口腔班、体操班、談話・傾聴班、脳トレ班の6つの活動、および、総務・経理等の活動を、7つの班で実施しています。
【プロボノチームの活動】
運営の担い手の高齢化と不足により、活動の維持・拡大が難しくなっていました。そのため、運営の担い手拡大に向けた具体的な施策について検討・提案しました。

 


 

NPO法人たすけあいはとぽっぽ

 

【団体概要】
住民同士の助け合いの理念に基づいて、高齢・障がい・病気等で困っている方の生活支援を有償ボランティアで行っています。
【プロボノチームの活動】
賛助会員獲得に向け、現在の取り組みを把握したうえで、改善につながる提案を行うとともに、案内資料の作成などの具体的なツールを作成しました。

 


 

トークライブ

 

<支援先>
●千葉市社会福祉協議会加曾利地区部会
江口さん
●NPO法人スマイルクラブ
黒田さん
●浦安介護予防アカデミア
木村さん

 

<プロボノワーカー>
●スマイルクラブチーム
林さん、木崎さん、矢作さん
●介護予防アカデミアチーム
千葉さん

 

<進行>
●認定NPO法人サービスグラント
小林 智穂子

 

 

事前にお願いしていたアンケートのご回答にもとづき、それぞれの経験談をお話いただきました。
以下、プロボノワーカーをPBWと表記しています。

 

Q:プロボノに参加しての一言感想をお願いします

 

プロジェクトに参加して、新たな気づきが生まれました。

 

PBW林さん:視野が広がりました。私は企業に10年ほど勤めておりまして、新しいことを始める部署にいます。しかし、実際にはなかなか視野が広がらないもので、この度プロボノに参加させていただきました。プロジェクトでは、すさまじい量の情報が入ってきて、そのことが大変刺激になり、視野が広がりました。「すさまじい情報」というのは、例えば、普段私たちが営業にいってもなかなか得られないことを、団体の方から直接うかがうことができました。また、NPOの方の活動に参加させていただける機会は、こういったきっかけがないと、めったにないと思います。そういったことから得られる情報はとても多かったです。

 

 

地域団体への関心は、日を追うごとに高まっていきました。

 

PBW木崎さん:凝縮された時間の中で自分の中に”気づき”が生まれました。
会社勤めをしながら、プロボノをして、退職前世代ということでライフシフトをも考えながら、チームとコラボレーションを行う……。このプログラムでは、限られた時間のなかでいろいろな情報が入ってきました。そのような「凝縮した時間」のなかで、地域団体への関心が日を追うごとに高まったと感じています

 

 

Q:支援先団体の皆さまからも感想をお願いします。

 

7年間あった課題を2か月で解決していただきました。

 

千葉市社会福祉協議会加曾利地区部会 江口さん:長年抱えていた課題を短期間で解決
7年間抱えていた課題を非常に短時間で解決していただきました。実質2か月ですよね。そのため「とても感謝しています」の一言です。

 

浦安介護予防アカデミア 木村さん:丁寧に現場を見ていただきました。
私どもの活動参加者は、高齢者がほどんどです。運営メンバーは75歳を超えていて、こんな若い世代の方々が70歳代、80歳代の方の気持ちをどれほど汲んでいただけるのか、初めは心配でした。ただ、プロボノの皆さんの行動が素晴らしく、現場を丁寧に見ていただきました。私の仕事の経験からも、「問題の解決策の鍵は必ず現場にある」というのがモットーです。実際の現場を見ていただけて、これは本当に良いものになると確信がありました。

 

 

Q:プロボノに参加してよかったこと・得たことは?

 

関わりあうことで、地域団体にもプロボノワーカーにも様々な相互作用がありました。

 

PBW矢作さん:NPO法人の方とお話できたこと、実際に活動体験できたこと
私は今までNPO等に全く関心がなくこのプロジェクトに入ってきてしまったのですが、NPOの方と話していく中で、自分の祖父母の考え方が理解できたように思いました。実際のスマイルクラブさんの活動へ参加できたこともよかったです。

 

PBW千葉さん:仕事の喜びを感じることができ、異業種のチームで仕事を進める中で発想がリフレッシュされました。
私たちのチームは4人別々の業種から集まってきて、得意なところもまるで違いました。いろいろなことを見学して、チームで発想を出し合うのですが、そのやりとりのなかで、「こんな考え方もあるんだな」と視野を広げることができました。

 

Q:大変だったこと・苦労したことは?

 

駆け足の2か月間でした

 

PBW林さん:時間がない! 12月に始まって1月に終わったのですが、どうしても会社の繁忙期と重なってしまい、やりたいこともあったのですが、やり残してしまったなという想いがあります。時間があれば、もっと活動見学に行きたいなと思っていました。

 

PBW千葉さん:もっと長かったら挫けていました。会社を離れて活動するにはITスキルが……。成果物が最終的に出来上がったのが、成果提案日の前日でした。前日夕方会社を出るときは、メンバーみんな少し暗い気持ちだったと思うんです。本当にこの後成果物ができるのだろうか、明日成果物を納品できるのだろうか、と。最終的には成果提案は完成し、みんなミーティング終了時には笑顔に。達成感を感じて帰路についたのですが、これが半年続いていたら…と思うと、もしかしたら続けていられなかったかもしれません。

 

 

(2)質疑応答

 

会場から質問をいただいた質問と回答です。

 

Q:プロボノワーカーの皆さんは、一個人として参加したのでしょうか?会社として参加したのでしょうか?

 

事務局:個人参加の方と、会社として参加した方、両方いらっしゃいます。

 

Q: 団体の方へ質問です。プロボノによる支援を受けることに対して、団体の中で反対や効果に対する疑問の声はあがりませんでしたか?

 

江口さん: 毎週会議をしており、その中で本件についても話をして確認しましたが、反対はありませんでした。メンバー全員賛成でした。

 

木村さん: 最初は「この短時間でできるんだろうか」「消化不良になるのでは」と危惧する人はいましたが、大きな反対はありませんでした。プロボノの皆さんと一緒にミーティングを始めてからは、この方たちとやったらいい案が出てくるだろうなと実感がもてました。

 

Q:団体側の金銭的な負担はありますか?

 

事務局: プロボノによる支援は無償です。

 

Q:成果目標を絞り込む過程では、どのように合意をとりましたか?

 

PBW: 最初のキックオフミーティングに参加いただいた団体の皆さん、困っていることそれぞれ異なっていました。最終的には、「自分たちの思いを次世代につなげたい」という共通の思いをみいだし、担い手募集に向けた取り組みを行うことで合意をすることができました。プロボノのチームから仮説を立てて提示しては、団体の方に確認をとったり、現場見学で検証を重ねて…と深めていきました。

 

Q:プロボノワーカー同士で親しくなりましたか?

 

PBW: 仲良くなりました。

 

PBW: 個人的に、それぞれが行っている別の活動にも参加するなど、つながりが広がりました。

 

 

本プロボノプログラム、セミナーは、「平成29年度 我がまちシニア応援プロジェクト事業」の一環で実施されています。