業務の棚卸し・運営体制改善提案の支援を通じて自分たちの活動に自信がつきました!
支援先団体:築地町自治会
プロジェクトの種類:業務フロー設計(業務の棚卸し・運営体制改善提案)
実施期間・エリア:2021年10月~2022年2月・東京都
※本記事は、2023年7月5日開催の「地域の課題解決プロボノプロジェクト 2023年度支援内容説明会」で支援先団体からお話いただいた内容をもとに作成しました。
築地町自治会 代表 唐木 重典 さん(写真右奥)
プロジェクト当時の活動内容
新住民にも参加しやすい環境づくりが長年の課題
築地町自治会は中央区にある古くからある町で、近年ではマンションが増えつつある地域です。会員は約3000世帯います。
お祭りを始めとした伝統行事なども多い町でして、積極的に参加してくださる方がいる一方で、新しい住民も多くなってきており、伝統行事や昔ながらの習慣を前提とした自治会活動をどうしていくべきかが課題でした。私自身はこの町に住んで20年弱になりますが、先祖代々住んでいる住民が多く、そのような人達が自治会の中心を担ってきてくれていました。ありがたいことではありますが、伝統的な視点だけではなく新しい住民にも参加しやすい環境づくりをしていくのが長年の課題でした。自分たちの活動を見返すいいきっかけになるのではと思い、地域の課題解決プロボノプロジェクトの個別支援に応募しました。
助成申請のきっかけ・プロジェクト中の感想
手の挙げやすい環境づくりに ”外からの目線” を
自治会内はいくつかの部会にわかれており、中心になるのが青年部です。メンバーには色々な人がいますが、この町で生まれ育った生粋の地元の人が多かったです。そのため、特に何もしなくてもネットワークができていて互いに顔も見知っており、阿吽の呼吸で物事が進んでいました。次の世代に繋ぐことを考えた時に、その人たちがいなくなっても継続できるのだろうか、イノベーションが必要なのではないかと思ったのです。従来の発想の延長ではなかなかイノベーションは生まれないので、外からの刺激、客観的な知恵を受けようと思い、個別支援に応募しました。個別支援では、業務周りの整理や組織づくりを支援してもらいました。自治会活動に興味を持っている人はたくさんいるものの、どこから手を出していいのか迷っていたり、古くからの町に入っていけるのか躊躇して二の足を踏む人も多いのではないかと思ったので、手を挙げやすい環境づくりを目指しました。
また、伝統といえば聞こえがいいものの、見方を変えれば慣習に支配されており、物事が整理されておらず、誰かの頭の中にすべてがあるため、後から来た人には訳がわからないということもありました。なので、モノや作業の流れ、役割分担をきっちり行い見える化するために、自分たちではできない部分を支援してもらうことが目的でした。
見える化されると自信が生まれ、モチベーションが上がる
私から自治会メンバーにも何人か声をかけてプロジェクトがスタートしたのですが、みんな最初は不安が多かったようです。外から人がくるとなると、阿吽の呼吸でこれまで進めてきていたものを言語化する必要があります。物事の進め方や考え方、経験値や価値観が違う人と一緒に進められるのかも不安でした。また、限られた期間内で成果を出せるかも不安でした。このような不安は私だけでなく他のメンバーも感じていましたが、これをきっかけに何か変われるのではとの期待もあり、不安と期待の交錯の中で活動が進んでいきました。
ひとつめの不安はミーティングを2回くらい行ったら解消されました。プロボノワーカーの方が一緒に考えようという姿勢で接してくださったので、距離感が早くに縮まったのです。また、ワーカーのみなさんはプロジェクトを進めるノウハウ、知恵を持っていました。例えば、現状分析や課題抽出、方策の立て方などでは、物事を整理するフレームワークが役立ちました。表などに見える化してくれて形になることで、私たちにも自信が生まれてモチベーションが上がる、という良いスパイラルで進んでいきました。
プロジェクトを終えて
”やってみた” ことで、自信と次に進む意欲につながった
オンラインのミーティングも初めて取り入れ、成果発表でも会長などを呼んでプレゼンも行いました。そのようなことも含め、自分たちの活動を客観的に振り返るいい機会になったと思います。また、これまで伝統だと思っていたものが実はマンネリ化していただけだったのかも、網羅的に取り組めていると思っていたことが実は非効率だったのかも、先人から受け継いだ知恵だと誇っていたが誰かの頭の中で抱え込んでいるだけで伝えられていなかったのかも、など、これまで良いと思っていたことの別の側面に気づけたこともよかったです。
また、やってみたら意外とできるものだと、参加者が自信を得られたこともよかったです。最初からできないと決めつけずトライしたり、次善策を選ぶということも経験できてよかったですね。デジタル活用もほとんどこれまで取り組めていなかったのですが、いくつか今回トライしてみたところ、これまで理解がなかった人たちもこれは効果的だと理解を示してくれるようになりました。全体的に、行動した、やってみたということがよかったと思います。
今回の支援内容でもある業務の棚卸しでは、これまでぼんやりと頭の中にあったことがしっかり整理でき、みんながなんとなくでわかっている暗黙知を形式知にできました。スケジュールや役割を決めることの大事さにも気づけ、優先順位をつけられたのもよかったです。自信と次に進む意欲につながったと思います。副産物ではありますが、活動を通じて一体感が生まれ、コミュニティの活性化にもつながりました。
プロボノ成果物を活用し、参加者増へ
個別支援では、3つのイベントのプロセスを整理し、マニュアルで見える化してもらいました。その後の自治会活動では、実際にマニュアルを活用しています。また、今回のプロボノ活動を通じてデジタル活用も進んでいます。これまで手書きの古いポスターで参加者を募集していた夜警パトロールですが、イラストレーターに頼んでチラシを作ってもらうとともに、QRコードで自治会のLINEグループに誘導し、参加者を募集しています。これにより、参加のハードルが下がり、これまでより圧倒的に参加者が増えました。
この活動で自信を得て、活動を通じた仲間づくりも進んでいます。数年ぶりにサマーフェスティバルを開催するので、夜警パトロールの参加者にも告知し、参加を呼びかけています。個別支援でプロセス整理・マニュアル化ができたため、これまでは口頭ですべて説明しなくてはいけなかった新しい参加者にも、マニュアルを使って漏れなく伝えられるようになりました。
祭りもみんなの頭のなかにしかノウハウがないのですが、コロナ禍で3年間中止になったため、みんな進め方を忘れてしまっています。今回の活動で気づいたことをもとに、イベントの手順を整理していこうという機運が高まっています。このように、いくつかの波及効果も含めて成果につながっています。