公開セミナーレポート 企業×プロボノ
2010年“プロボノ元年”における先進事例と将来展望
公開セミナーレポート
「企業 × プロボノ」社会貢献活動の成熟に向けた新たな選択肢
■ 開催概要
日時 : 2010年12月9日(木)17:00〜17:45
場所 : エコプロダクツ2010 環境コミュニケーションステージ
来場者数 : 約100人
開催にあたって ご挨拶
NPO法人サービスグラント代表理事
嵯峨 生馬
2010年、テレビや新聞、ラジオでも、またビジネスパーソンの日常会話の中でも、プロボノという言葉が聞かれるようになってまいりました。社会人の方々のスキルを活かして参加をするボランティア「プロボノ」は、社会貢献活動に参加する新しい手法であるというだけでなく、そこに参加するビジネスパーソンご自身のスキルアップや自己研鑽といった部分でも、注目を集めています。
このセミナーでは、そうしたプロボノのさまざまな側面に注目し、2010年、企業としてプロボノに取り組んだ3社の皆さまにゲストとしてお越しいただきました。実際、プロボノを企業はどのように活用していけばよいのか。またそのプロボノを取り入れていくことによってCSRや社会貢献活動がどのように成熟していくのでしょうか。
このセミナーを通じて、これからのプロボノや企業の社会貢献のあり方について展望してみたいと思います。
NPO法人サービスグラント 特別顧問
奥山 俊一氏
さて、企業の社会貢献という歴史を少しだけ振り返ってみますと、1990年頃、文化や芸能を企業がサポートするということで、メセナ、フィランソロピーという言葉が使われ始めました。
そして最近では、2002年頃からでしょうか。CSR、企業の社会的責任ということをよく耳にするようになってきました。最近では、企業がNPOや地域のボランティアの方たちに資金支援をしたり、また、企業の社員がボランティア活動に積極的に参加するようなことが日常茶飯事になってきています。
今日のトピックスは、企業とプロボノです。企業において学びましたスキルや専門的知識をボランティア活動、NPOのために役立てようという試みについて、先進的な事例に取り組んでおられる3社のCSR担当の方にお越しいただきました。
日本電気株式会社 CSR推進部社会貢献室
池田 俊一 氏
はじめまして、NECの池田と申します。どうぞよろしくお願い致します。私は、弊社の企業市民活動推進、その中でも特にソーシャルアントレプレナー(社会起業家)の育成や、IT支援プログラムなどを担当させていただいております。
弊社の場合、プロボノについては、CSR活動の一環として取り組んでおりまして、「NEC社会起業塾ビジネスサポーター」という名称で展開させていただいております。
弊社が考えるCSR、社会的責任の取り組みについては、経済責任とコンプライアンス責任とともに、よき企業市民として社会的課題解決に貢献していく、というところを非常に重視しており、そのアプローチの一つとして社会貢献活動が位置づけられています。
社会貢献活動の五つの中期的なテーマとして、【情報格差の解消】【社会変革に資するソーシャルアントレプレナーの育成】【創造力を育む青少年教育】【地球環境保全と生物多様性配慮】【多様性豊かな社会の実現】を掲げており、二番目の社会変革に資するソーシャルアントレプレナー育成のための方策の1つとして「NEC社会起業塾」というプログラムを2002年より展開しています。
内容としては、社会的課題に事業で取り組む事業型NPOやソーシャルベンチャーの育成と人づくりを行っておりまして、2002年から2010年までの間に34団体が卒業しています。2010年度より、NEC社会起業塾の卒業生へのフォローアップとしての位置づけで「NEC社会起業塾ビジネスサポーター」、いわゆるプロボノの取り組みをスタートいたしました。
NEC社会起業塾ビジネスサポーターの目的は、NECグループ社員が社会起業家に関わり、支援する機会を創出すること、二つ目に、NECグループ社員が社会変革の現場に実際参加することで生活者視点からの新しいソリューションを創出していくというところと、三つ目として、社会起業塾の卒業生に対してフォローアップしていくというものがあります。
プロボノの実施内容としましては、NECのグループ社員が、1チームあたり7〜8名のチームを組み、週3時間程度、期間としては約半年間参加する、という枠組みです。具体的な支援の内容としては、大きく三つあり、中小企業診断士資格保有者による経営支援、WEBサイトの構築支援(ホームページのリニューアル)、そして顧客管理支援ということでCRMソリューションの強化などを提供しています。
2010年度の支援対象者は、NEC社会起業塾の卒業生から選定しており、ケアプロ株式会社(ワンコインの血液検査・健康診断サービス事業)と、株式会社オリザ(高収益農業ビジネスを行う社会起業家)の二社となりました。
私がこのプロボノプログラムを担当させていただいて、すごく感じていることは、始めることできっと何かが変わる、ということです。支援を受ける側、NPOや社会起業家のみならず、会社や個人にとっても非常に大きなメリットがあると感じています。いまプロボノを実際に検討してスタートしようかどうしようか迷われている方がいらっしゃいましたら、ぜひ思い切ってスタートしてみる、ということをお勧めいたします。
質問/奥山氏
NECでは、他にもいろいろな社会貢献活動を手がけていると思いますが、プロボノに取り組まれるメリットとして、他のプログラムと比べてどのような点が違うでしょうか?
回答/池田氏
大きく二つあると思っていまして、一つが本業での経験やスキル、ノウハウをそのまま生かすことができるということです。二つ目としては、社員が実際に現場に行って、いろいろな学びや気づきを得ることによって、そこから本業へのフィードバックが起き、新しいソリューションやサービスが生まれる可能性がある、というところが違うのではないかなと感じています。
ゴールドマン・サックス証券株式会社
コーポレート・エンゲージメント
平尾 佳淑 氏
みなさんはじめまして。ゴールドマン・サックスの平尾です。コーポレート・エンゲージメントという部署で社会貢献プログラムの企画運営に携わっております。
実は弊社のプロボノ・プロジェクトはまだスタートして間もないので成果というところはまだなのですが、全体的な話からどうしてこうしたプロジェクトを始めたかというところを中心にご説明させていただきたいと思います。
ゴールドマン・サックスは、ニューヨークに本社がございまして、全世界で49の拠点を持ち、社員は全世界で約3万人、日本のオフィスは東京だけなのですが約1,600人おります。事業の内容としては金融商品、金融サービスの提供を行っています。
私の所属している社会貢献のコーポレート・エンゲージメントグループは、東京では2001年から活動しています。社会貢献活動の基本的な考え方に、我々の最大のリソースである人材を活かすことを掲げ、社員が暮らし働いている地域コミュニティでの活動を中心に社員参加型のプログラムを推進しています。また、非営利団体との長期的なパートナーシップと、ある程度目に見える成果が得られるような活動に注力しております。
弊社の社会貢献には二つの柱がありまして、コミュニティ支援プログラムとして社員が参加してボランティア活動をするプログラムと、資金的援助をさせていただく寄付金プログラムがあります。
プロボノの話に入る前に、今年で15周年を迎えるプログラム「コミュニティ・チームワークス」の話をさせていただきます。これは、1日間、社員がなんらかの形でボランティア活動をするというプログラムで、会社は有給休暇を提供し、また、ボランティア活動にかかるコストを負担するボランティア推進プログラムです。社員を通じて家族や友人の参加も可能で、毎年4月から8月に行われるのですが、今年のプログラムは1,600人の東京の社員のうち76%が参加するという、大変参加率の高いプログラムとなっています。
どういう活動をしているかというと、通常のビジネスで培った経験をシェアできるような内容を近年一生懸命導入していまして、例えば、施設で暮らす子どもたちや特別支援学校のお子さんの自立のお手伝いとして、面接の応え方や履歴書の書き方を教えたり、DV当事者女性のためのパネルディスカッションなどもやっております。
今回のプロボノ・プロジェクトは「ゴールドマン・サックス・ギブズコミュニティ支援プログラム」という2010年9月にスタートした新しいプログラムに組み込まれていて、教育支援やひとり親自立支援に取り組むNPO団体の組織基盤強化を目的としています。
プロボノ・プロジェクトでは、二つの団体に対して、プロボノとして参加する社員が五人でチームになり、いろいろなヒアリングを行いながらまずは戦略を練って、何がこの団体にとって必要なのか提案します。そしてその提案を実行するための資金もゴールドマン・サックスが提供するということで、1クール5ヵ月でプロジェクトを進めています。本当に色々な部署の社員が手を挙げてくれ、忙しい中でも効率的にチームで情報共有を行い現在戦略を立てているという状況です。
弊社のプロボノの特徴としては、先ほどご説明したコミュニティ・チームワークスを通じて、ボランティアに慣れている社員がたくさんいるということです。そうしたボランティア経験豊富な社員たちが積極的に自分たちの経験や仕事のスキルを活かしながら戦略を立てています。さらに、その戦略を実行することで基盤強化が図られたNPO団体と、今後は弊社の他の社会貢献プログラムで協働していきたいと考えています。こうした試みも我々のプログラムの特色だと思っています。やはり自分のスキルを他のところで使うということは素晴らしいことだと思いますし、また、新しい知識をこういった活動によって得ることができるということで、参加者からは大変よいフィードバックを得ています。
では、企業にとってどんな利点があるのかというところですが、人材育成のためでやっているわけではないですが、結果的には社員のスキルアップにとてもつながっているようです。また、いろいろな部署の人が参加することによって、部署の垣根を越えてチームワークが促進される、それによってバランスのとれたリーダーが生まれていく、ということも言えます。やはり我々の資源は人材ですので、こうした活動が結果的に本業にプラスの影響、人材のスキルアップ、レベルアップにつながっていくというところがプロボノ・プロジェクトにおける弊社にとっての利点となります。
質問/奥山氏
最近、プロボノ活動を始められ、取り組んでこられてきた中でなかなか難しいな、だとかこんな所で困っているというところがありましたら教えて頂きたいのですが。
回答/平尾氏
社会貢献活動自体は本社を中心として長くやっておりますので、経営者始め社員の理解はとても強いのですね。そういう意味でプロボノを募集した時もほとんど10分で人が集まりました。ただ、やはり、忙しい社員の時間をどういう風に効率的に使い、その結果をうまく社内で発信してそれを持続的なプログラムにしていくか、という所は我々がいつも苦心している所です。
日本IBM株式会社社会貢献担当
川嶋輝彦氏
日本IBMの川嶋でございます。どうぞよろしくお願いいたします。そもそもプロボノのきっかけになったのは、弊社が2008年から取り組んでいる「コーポレート・サービス・コー」という活動にあります。
これは、故ジョン・F・ケネディー大統領が、当時の発展途上国に対してアメリカのスキルを持った人材を派遣し、農業や教育支援に従事させるピース・コー(平和部隊)という政策をヒントに2008年から始めたプログラムで、いわば企業版「ピース・コー」です。170ヵ国以上で操業しているIBMのグローバル人材を10人1チームで構成して、アジア、アフリカ、東欧の旧共産圏の国々に派遣し、人・物・金の経営資源にボトルネックを抱えるNPO、NGO、中小企業、起業家、大学などを1ヵ月間無償で支援してきます。
弊社は最終製品を持っていない会社なので、ソーシャルビジネスなど、プロダクトを使って発展途上国の社会課題を解決するということはできませんが、BtoB企業のソーシャルビジネス支援という位置づけで展開しています。2010年の末までで全世界の社員1,000名、90チームくらいを先ほど申し上げた国や地域に派遣しているわけですが、日本IBMの社員もこれまでに38名が参加しています。彼らは、自分のさまざまなスキルを活かして現地の仕事を手伝ってくるわけですが、非常に社会性を高めて帰って来るのですね。そして、彼らの中の何人かから、日本の中でもNPOやNGO、最近でいえば、社会起業家のように経営リソースにボトルネックを抱えているようなところがあるのではないか、そういうところを支援できないかという声が上がってきました。
また、サービスグラントで提供されているような社外のプロボノ・プログラムに参加した経験を持つ10年選手のコンサルタントを中心にここ数年入社してきた若手からも、企業としてNPOやNGOに対するプロボノ支援ができないかという提案がありました。
こららの声に応える形で生まれたのが弊社のプロボノプログラムです。ポイントは三つです。
一つは、まずそうしたプロボノサービスを期待する、利用したいNPOさんがいるのか、いないのか、いた場合にどういう人たちなのか、我々はNPOの情報を持っていませんでした。そこで、中間支援組織のチャリティ・プラットフォームのご協力をいただいて、シブヤ大学、育て上げネット、トライワープという3つの団体を推薦していただきました。チャリティ・プラットフォームは「NPOを持続可能な(Sustainable)セクターに育てたい」と、佐藤大吾代表が設立された団体なので、3団体のトップの方々と直接のリレーションをお持ちだったということも大きかったと思います。
二つ目は、「コーポレート・サービス・コー」という弊社のプログラムには、コンサルティングの部署を中心に、銀行さんのプロジェクトマネジメントをやっていたり、購買のプロだったり、コミュニケーション開発に強いなど、さまざまなスキルを持った社員がいるので、この力をうまく組み合わせてNPOを支援できないかと考えました。
そして三つ目が、ここが我々の味噌なのですが、最初に解決する課題を特に決めなかったということです。まずNPOのトップ、事務局のメンバーの方々の思いをそれぞれお聞きして、みなさんの課題は何でしょうか、みなさんが解決したいことは何でしょうか、ということを最初にしっかり議論します。当然NPOと企業とでは言葉が違いますので、文化、ケミストリーをしっかり踏まえて支援を行うということを大きなポイントとしました。
3団体とも、2010年の2月から6月までの4ヵ月間支援をしたわけですが、大変ご満足いただいたと思っています。実はその後2010年10月から第2弾を始めているのですが、この3団体は継続してやりたい、というお声があり、加えて、参加するプロボノワーカーも増えたので、プラス2団体の計5団体を対象に、10月から2011年の2月まで支援を行います。これが我々の活動の紹介になります。
質問/奥山氏
ここにご参加いただいている来場者の皆さまの中で、我が社でもプロボノをしていきたいと検討されている会社さんがいらっしゃるかもしれません。もしそのような方々にアドバイスをするとしたら、どのようにスタートするのがよいのか教えていただけますか?
回答/川嶋氏
バブル期の絶頂くらいに入社をした私のような社員は、成長の甘い香りを嗅いだ最後の世代であるせいか、社会課題、社会起業、NPOなどにあまり興味を持っていないのですが、プロボノに参加している社員、つまり、入社3年から10年目ぐらいまでの人たちというのは、先ほどのNECさんの社会起業塾のように、社会起業をやりたい、ソーシャルアントレプレナーになりたい、という志を持ちながら、ある種その志に後ろ髪を引かれながら、企業に入ってきているような人もいらっしゃるのではないかと思います。
私の経験値ではそうした層の中ではこういう活動に興味を持つ人が多いと思います。
そうした方々をうまくオーガナイズして、後はやはりやり甲斐をどこに持たせるか、ではないかと思います。よく、やり甲斐が本業にないから外に求めるということも言われますが、それはNPOさんに対しても失礼なので、やはり本業にそれなりの向上心、あるいはキャリア意識があって、なおかつそのスキルを外にも生かしたいという前向きなワーカーの方を見つけてくるということがもう一つ大事なことだと思います。
ですから世代をしっかり見た方がいいのではないでしょうか。成功率を高めるためには、世代の構成を考え、スキルのある人を集めることが大切だと思います。
[奥山俊一氏]
このように3社の方々にお話を伺っておりますと、それぞれ企業とプロボノといっても随分違うな、という印象をお感じになったと思います。取り組みの仕方も違いますし、これまでの社内での活動も違いますし、企業風土も当然違うわけですが、少なくとも2010年プロボノ元年に、色々な意味で先進的な取り組みをされているというわけです。
そこで、三社のみなさまに共通する質問をしたいと思うのですが、みなさまが現在進めていらっしゃるプロボノ活動を、今後どのように進化させ、発展されていかれるのか。2011年に向けて新しい仕組みなどを検討されているようでしたら、お話をお伺いできればと思います。
[NEC池田氏]
まずは、間もなくプロジェクトが終了していくというスケジュールの中で、特に社員にとって何が得られたのかを検証した上で、いろいろと決めていくということになると思いますが、2011年の可能性としては、今期取り組んでいるウェブサイトの構築と、CRM(顧客管理)システムの強化という2つのテーマ以外にも、ソーシャルアントレプレナーの声を聞くと、事業戦略の策定の仕方や資金調達、営業戦略というものに関して非常にニーズが高いので、内容を色々な方面に拡大するということは可能性としては考えられるのではないかと思います。
[ゴールドマン・サックス平尾氏]
NECさんとすごく似ているのですが、今ちょうどプログラムをやっているところで、あと2回くらいで戦略の方が構築されると思います。中心となってやっているのは2つの団体の基盤整備で、どういった戦略を立て、それが実行できる戦略の提案というところをやっていますが、その後、実際の資金援助においてプランを実行した結果をみて、やはり、成果物がちゃんとしたものであったかということを支援対象となっている団体、あるいは、プロボノで参加している社員など会社の内と外からきちんと評価していきたいと思っております。
そしてその成果物を実際に基盤整備に役立ててレベルアップした団体さんが我々の他の社会貢献プログラムでも力を発揮していただきたいと思っておりますので、中長期的な目でプロボノに入った団体の成長をアセスメントしていきたいと思っています。それが我々の来年の目標です。
[日本IBM川嶋氏]
まず対価をいただかない無償の活動、しかも事業時間外に社員がコミットするということなので、我々としてはあくまで成果物は基本的に目に見える形では出ないわけです。あくまでスキルや経験を使って支援するとなると、課題を見つけて戦略を立てるというところで我々の活動は終わらざるを得ず、見つけた課題・戦略に対して実行する戦術など、下流につなげていくときに、サービスグラントのようなある種、成果物を出して提供するようなスキームの団体とうまくコラボレーションができるのではないか、というのが一つです。
また、我々のプロボノはスケールアウトするつもりはなく、ボランティアである以上は、社内でも大々的に公募ができないと思っています。事業でやっている場合は、スキルや経験はスクリーニングできるのですが、やりたいという人を集めてくる以上、それはできません。あくまでプロボノをやった社員が他の社員に紹介する、という口コミの形を取っていることもあり、今後もプロボノワーカーが劇的に増えることはないだろう、と思います。
さらに、団体をなるべく密にサポートするためには、せいぜい年間5団体から7団体だろうな、と考えており、小さく長く育てていきたいというのが今後のポイントです。
あとは、若干社会学めいた話になるのですが、日本の少子化や財政難など国の先行きをみると、現在の政権が取り組んでいる新しい公共という流れは不可避だろうと思っています。そうした中でNPO、NGO、企業、行政の中での人材交流が絶対必要になってくると思います。しかし現時点では人材の流動化は非常に低いのが現状ですし一朝一夕で変わるものでもないと思います。ですので、当面はこういう企業の中のワーカーたちがボランティア意識をもとにNPOを支援していくというモデルが最適な解だと思っています。これを通じてNPOとか、社会起業で働くことが企業と同じような価値を生むという文化を作るお手伝いができればと思っています。
さいごに
[奥山俊一氏]
プロボノの先進国であるアメリカでは、政府が企業のプロボノ活動を推奨しています。
川嶋さんも触れられたように、内閣府を中心に日本でも「新しい公共」推進会議ができまして、NPO税制の見直しや、ボランティアの担い手をどのように拡大していくのか、企業の社会貢献活動をどう広げていくのかが真剣に議論されています。
今日は、限られた時間ではございましたが、各社のプレゼンテーションをお聞きになりまして、プロボノ活動が徐々に、アメリカやイギリスに比べますとまだまだスタートしたばかりではありますけれども、いろいろな試みが日本でも起こってきているなということをご理解いただけたのではないかと思います。
そういうプロボノ活動が幅を広げ、プロボノが提供するサービスの質が今まで以上に満足感があるもの、プログラム自身も多様なプログラムができることを祈念しまして、ラップアップということにさせていただきたいと思います。
本日はお忙しい時間にも関わらず、お三方にプレゼンターとしてご登場いただきました。改めて感謝の意を表したいと思います。ありがとうございました。