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ソーシャルアクションアカデミー2022
「アクション学科」5プロジェクト誕生の成果報告レポート

ソーシャルアクションアカデミー2022 ソーシャルアクション学科 成果報告


テーマ:社会的養護、若者を守る 

 

NPO法人サービスグラントでは、これまでに1,100件を超えるプロボノプロジェクトの運営を通じて、多様なNPO・地域団体など非営利組織と社会課題に関心を寄せる社会人との間に接点をつくり、具体的で効果的な成果をもたらすプロジェクト運営に力を注いできました。活動開始から15年以上の積み重ねを糧に、社会課題解決に向けた新たな関わり方を提案するのが、『ソーシャルアクションアカデミー』です。


3期目にあたる2022年度は、本アカデミーに「ソーシャルアクション学科/ソーシャルリサーチ学科」2つの学科を設置し、8月から約半年間「子ども・若者をめぐる社会課題」をテーマとするプログラムを開講しました。

 

本ページでは、【ソーシャルアクション学科】を通じてアクションに至った5つのプロジェクトについてご紹介します。

ソーシャルリサーチ学科 成果報告については【こちらのページ】をぜひ、ご覧ください。

ソーシャルアクション学科 成果報告

 

「ソーシャルアクション学科」では、NPOや分野の専門家ではない一般だからこその視点や立場を活かして、参加者自身がみずから主体者となって具体的なアクションを企画し、試行・実践することで、社会課題への認知や関心を高め、多くの市民や幅広い関係者を巻き込むことにチャレンジするプログラムです。

 

 2022年度は、社会の未来につながる「子ども・若者をめぐる社会課題」をテーマに、関連する活動に取り組まれている4団体(NPO法人日本こども支援協会NPO法人ピルコン認定NPO法人ブリッジフォースマイルNPO法人BOND プロジェクト(五十音順表記))を参加団体にお迎えし、8月から翌年1月までの約半年をかけて、団体からの話題提供と現場見学の機会を通じた【課題共有】約2カ月、【企画】約1カ月、【アクション】約3カ月のカリキュラムに取り組みました。

 

受講者29名は、大学生から社会人まで幅広い年代、多様な職種でご活躍の皆さまで、以下のようなさまざま期待や動機を胸にご参加いただきました。

 

「社会に潜む今注目を集めている社会問題に対し、興味を深める良い機会になると考えました。人種差別や女性差別などの問題にも関心があり、アクションアカデミーに興味を持ちました。(大学生)」

「新規ビジネス創出におけるR&Dに従事しています。これから事業としてサステナビリティ活動に取り組むにあたり、一度会社の外で活動して、それを社内に持ち帰り展開したいと思い応募しました。(30代・女性)」

「社会課題の現状と構造を知ることと、解決のためにどう動くかを学びたいです。特に、子どもの貧困やそれを取り巻く課題については関心があるので、今回参加したいと思いました。(20代・女性)」

「組織内でも、今後の中期的方針を検討するに当たり、社会・地域課題の解決に向けた議論や取り組みが進められる中、課題の所在の理解からアクションまで一連で学ぶことが出来る点が最大の動機。他業種・業界の方々とともに学ぶことで、それぞれの業種・業界の方からは各課題がどのように見えているのか、またそれに取り組む手法は何か、といったことも学びたいと思っています。(20代・男性)」

2022年度 プロジェクト一覧

約2ヶ月の課題共有フェーズを経て、団体に共通する課題は何か、解決のためにどんなアクションが考えられるのか個々人で企画検討をしました。メンバー同士で企画発表を行ったり、ソーシャルアクションの検討・実施に必要な、マーケティング、プロデュースの視点から株式会社アム 代表取締役の岡本佳美さん、株式会社小国士朗事務所 代表取締役/プロデューサーの小国士郎さん、お二人の実践者を講師にお迎えし、各企画のフィードバック、ブラッシュアップをサポートいただきました。

 

その結果、2022年度は5つのプロジェクトが具体的なアクションに進むことになり、各プロジェクトでチームを編成して取り組みました。

(プロジェクト名五十音順表記)

1. いざって時の対話術ゼミ in 吹田市

2. Sail to the Seven Seas 海の職業体験プログラム

3. ドロカル 徒歩15分圏内特化型カードゲーム

4. Furelute(触れる手)

5. もったいないからありがとうへ リユース家電で自立応援


 

はじまり:18歳で児童養護施設を退所する高校生向けに実施されているセミナーへの参加を通じ、「自信がないのはみんな一緒、社会的養護の環境にある子どもだけではなく、大学生、社会人全てがコミュニケーション力の向上を共に目指す機会提供を吹田市内できもできないか」と考えました。

取組概要:対人援助を将来的に考えている、またはこれから従事していこうという若者が主導で、児童養護施設で過ごす高校生を対象にコミュニケーション力の向上につながるセミナーを開催。企画運営に社会人も共に関わることで、若者の自立支援、社会的養護の立場にある人への想像力をもった対人援助職の育成を目指すセミナー企画に取り組みました。

チームメンバー:いしやん

 

アクションの様子
子どもも若者も社会人もみんなでコミュニケーションスキルの向上を目指せるセミナー実施に取り組みました。
開催は2月11日(土)10:00-12:00の2時間で、性格テスト、いくつかの場面でどんなコミュニケーションを取るのか、ワークを織り交ぜた構成となりました。ファシリテーション役の大学生、セミナーを受講する児童養護施設の高校生、実施運営をサポートする社会人、総勢12名が参加しました。

高校生からは、「自分のタイプ(性格)が知れた」「いろんな自分でOK なんだ」「切り替えが大事」「断る勇気が課題かな」。
大学生からは、「何よりも自分の声を大切にしてもらいたい」「一人ではしんどいことがあってもそれは、自分だけでなく、他の人も考えていることを伝えることができて良かった」。
社会人からは、「勉強になった」「人の縁の力、頼ること、挑戦すること、周りに助けてくれる人がいる、自分の意見が言える先輩をもつこと、など話し合えて良かった」と言った感想が寄せられました。
企画メンバーは、「当日は大学生が高校生と社会人の間に介在することで、現実味のあるテーマや投げかけが和らぎワーク内でのパスが美しく、高校生にとって受け入れやすい内容となった。一方、大学生が主導しファシリテーターとなるまでの合意形成、モチベーション向上、体制づくりに想像以上の労力を要した。」と総括しています。
今後は、参加された児童養護施設側の職員と関係づくりを行いながら、継続実施するか検討します。

 


 

はじまり:高校生の大学・短大進学率は52.7% であるのに対し、児童養護施設出身者の大学・短大進学率は17.9%(厚生労働省 家庭福祉課「社会的養護の現況に関する調査」令和元年5月1日現在)、進学後の中退率は2021年9.0%⇒2022年13.3%となっています。また、就職を選択した後の離職率が全国平均よりも高い(全国平均:1年目 16.8%、2年目で29.4%、3年目で39.2%に対して、施設退所者は、1年目 30.8%、2年目で51.2%、3年目で61.1%)現状を知りました。もし、世の中にはどんな仕事があるのかを知る機会が増え、自分に合った仕事、自分がなりたいと思う職業について学んだり考えたりする機会が増えれば、上記の要因を取り除くことに役立つのではないかと考えました。

取組概要:児童養護施設で育つ子供たちの未来の可能性を広げたいという思いのもと、企画者の船員としての経験を職業体験として提供することで、しごとへのイメージを広げてもらうワークショップを企画・実施しました。

チームメンバー:けんさん、ごんさん、かおりん、れお君

実施協力一般社団法人COCO PORTA

▼団体発信のnoteでも当日の様子を詳細にご紹介いただきました。

本文はこちら

 

アクションの様子:千葉県にて里親・養子縁組家庭及び社会的養護の子ども達の支援に取り組む一般社団法人COCO PORTAさんのご協力を得て、実際に小学生~高校生を対象に90分のワークショップを開催。海に囲まれた日本における船の重要性をはじめ、船に関わる多様な仕事の内容についてや、手旗信号のデモンストレーション、実際の現場でも使われる紐の結び方など実演なども交えた構成、内容を試してみました。実際に船の仕事に興味があると参加をしてくださった子どもさん含め、大人の皆さまからも、リアルな感想、フィードバックを得ることができました。

次回は、練習船に乗り込む体験も織り込んだ構成で次のワークショップの企画、実施に向けて調整を進めています。

▼ワークショップの様子。船員になるためには英語はどれくらい必要ですか?など具体的な質問も飛び出しました。

 


 

はじまり:複数のNPOの活動を見聞きする中で、「無縁社会」「ヤングケアラー」など、言葉がつけられることで社会課題として顕在化するその手前には、名もなきグレーゾーンがたくさんあり、支援が必要なことも自覚していないのではないか? 家族のこと、学校のこと、友達のこと….言葉にはしづらいさまざまな「こまった」を抱え、生きづらさを感じている子どもには、家族や学校の先生以外に生活圏の被る「徒歩15分圏内」というエリアで「気にする大人」が必要ではないかという考えが生まれてきました。

取組概要:徒歩15分圏内の近くに住んでいる地域の大人と子どもたちが、楽しく、簡単に、自然に会話のきっかけをつかみ、“顔見知り”になれるツールとして、カードゲームに着目し、同じ地域に住んでいるからこそ分かるキーワードや、話題なども取り入れながら遊べるカードゲームの制作に取り組みました。

チームメンバー:かざかざさん、やまちさん、やのりん、ひろさん、けんさん

 

アクションの様子

カード制作の企画にあたって、ボードゲームファシリテーターへのヒアリングを行った他、小中高生向けの居場所拠点を運営するNPO法人へのヒアリングなども参考にしながら、オリジナルの大喜利型のカードゲームの制作、使い方の説明動画アニメーションの制作、カード素材のダウンロード可能なようなウェブサイトの制作、制作過程の様子を記録したnoteを公開しました。3月には、子ども支援に取り組むNPO法人の拠点スタッフのご協力を得て、実際に、子どもたちとドロカルをプレイしました。子どもたちの様子を観察したり感想を聞いたりしながら、拠点のボランティアスタッフからも改善点をもらいながら、本来意図した目的が達成されるのかの検証にも取り組みました。

カードゲームの遊び方、素材のダウンロードはこちらから

▼制作過程の様子などは全てnoteにて発信しました。リンク先はこちら

▼子どもの居場所活動を行う拠点では事前告知にもご協力をいただき、プレイできるのを楽しみにしていました、というコメントに勇気をもらいながら、純粋に楽しんで盛り上がってくれた様子を確認しました。

 

 


 

はじまり:生きづらさを抱える少女達を支援するBOND プロジェクトさんが語られた「色々なことを抱えている女の子たちの都合のいい場所になりたい」「それが叶う場所は本当に少ない」という言葉への共感を手がかりに、少女達に安心して喜んでもらいながらスムーズなコミュニケーションが図れるアイディアの着想を探り始めました。

取組概要:「手=物理的なぬくもり」を起点に、未来のLadyをキラキラに、をコンセプトに、ネイルやハンドマッサージを入り口に、少女たちと相談機会への懸け橋となるイベント開催に取り組みました。

チームメンバー:かおりん、えっちゃん、カトー、ユキ、すみちゃん、ひまちゃん、ひかる

実施協力NPO法人BOND プロジェクト

 

アクションの様子

・資金調達のためにクラウドファンディングの立ち上げ(Good morning)
・企業協賛に向けた資料制作
・広報活動(Value Pressでのリリース、Instagramなどの発信)
・会場確保、予約フォームの設定
・当日運営工程
・協力いただけるネイリスト・ハンドマッサージ師探し(募集・問い合わせ用のウェブサイト
・少女達への情報提供など協力いただくBONDプロジェクトさんとの各種調整、確認
などを分担して実施しました。
また、さまざまな背景を抱えて新宿のトー横などに集う少女たちのリアルを理解するため、BONDプロジェクトさんのパトロール活動に参加したり、女の子たちとの接し方の注意ポイントなどの事前学習にも取り組みました。

Fureluteの記念すべき1回目は1月24日(火)夜、池袋の会場を借りて開催しました。メンバーが各方面にアプローチをした結果、Instagramでもたくさんのフォロワーがいるネイリスト3名他、ハンドマッサージ師2名にもご協力をいただき、12名の女の子が会場に足を運んでくれました。

「予約した日からこの日を楽しみ生きたよ 幸せな時間をありがとう」

「本当に素敵な取り組みだと実際に参加してみて心から思ったので、ぜひ定期的に開催して欲しいです!!救いになる女の子絶対います!」

などなど、寄せられたアンケートには女の子たちからの温かい思いが詰まっていました。
今回のイベントが、BONDプロジェクトさんのSNSのフォロワーの方と団体スタッフが直接話す機会となったり、数年ぶりの再会のきっかけを果たしていたことなどが分かり、より良い変化を引き起こす力を持った場となる可能性も感じられました。

チームは、関係者からのフィードバックを得て改善点の洗い出しを行うとともに、継続開催のための準備手順や、今回得たノウハウをBONDプロジェクトさんにも引き継げるよう第2回の開催に向けて準備を進めています。

 

 

 

▼メンバーは大学生から社会人まで総力戦で走り切りました。

在学中コロナでなかなかアクティブな活動ができなかった大学生からは、Fureluteが1番の思い出となったというコメントも。

 

 


 

はじまり:児童養護施設には約2万4千人の子どもたちが生活し、入所理由の45.2%は虐待、15.6%は父母の精神疾患などで、18歳での退所後、親のサポートが得にくいケースが多いのが現状です。毎年約2000人が18歳で社会に巣立ち、大学・専修学校への進学率は33.1%、就職率は58.8%となっています。退所後の自立を求められる中、大きな不安となっているのが、生活費や学費といった経済的負担が挙げられます。リサーチを進めていく中で、武蔵野市を拠点に毎年50名の若者にリユース家電の寄贈に取り組んでいるPO法人プラネットカナールさんが、全国にこの活動を広げたいと考えていることを知り、全国に広げるための動画や説明資料を作成しサポートすることが、社会的養護施設を巣立つ若者の経済的負担を減らすことにつながると考えました。

取組概要:社会的養護施設から巣立つ若者の現状理解に加え、プラネットカナールの年間の取り組み内容や工夫していることを既存資料やヒアリングで整理し、①活動の意義や「ありがとう」でつながる喜びを伝える動画作成、②活動の流れが分かる資料作成、③具体的なノウハウがちりばめられた実務マニュアル作成に取り組みました。

チームメンバー:うめさん、いでさん、としおさん、なつこさん、ひろさん、カッティさん、えっちゃん、すみちゃん

実施協力NPO法人プラネットカナール

 

アクションの様子
「児童養護施設を18歳で巣立つ若者にリユース家電と応援の気持ちを届ける活動の輪を全国に広げる」をテーマに、プラネットカナールさんの活動紹介資料、活動説明動画の制作、実務マニュアルの3つの成果物を作成しました。
家電の寄贈に向けて、募集企画・引取・配送・保管場所提供をはじめ、家電寄贈者、配送サポーター、ボランティアなどを地域ごとに取りまとめ、児童養護施設の職員と連携をとるコーディネーターの募集の呼びかけなども盛り込みました。
その他、家電量販店などの協力調査にも取り組みました。

リユース家電で自立支援、説明プレゼンテーション(プラネットカナールさんのウェブサイト掲載)

 

【お問い合わせ】

 

ソーシャルアクションアカデミー「ソーシャルアクション学科」、「ソーシャルリサーチ学科」いずれも、社会の未来につながる「子ども・若者をめぐる社会課題」の分野において、リアルな社会課題解決に挑戦する経験を通じて、社会に対する生きた知見を手に入れ、本業の場面で発揮できるビジネススキルを磨く超実践型アクションラーニングプログラムです。

2022年度のプログラム概要は、こちらのご案内ページをご参照ください。

ソーシャルアクションアカデミー事務局
(認定NPO法人 サービスグラント内 担当:岡本、小林)
お問合せフォームはこちら

[東京]150-0002 渋谷区渋谷1-2-10 中里ビル4階

[関西]541-0047 大阪市中央区淡路町2-5-16 淡路町ビル8階  

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