do it probono.
データベースによって、20万人以上の健診結果の蓄積が可能になりました
川添高志氏/ケアプロ株式会社

急拡大する「ワンコイン健診」サービスの実績

―― ケアプロ株式会社の事業内容について、簡単にご紹介いただけますか。

ケアプロでは、予防医療、在宅医療の大きく2つの事業を展開しています。
予防医療はワンコイン(500円)で健康チェックが受けられるサービスを実施しています。1年以上健康診断を受診していなかったり、費用面で受診が困難な方々を「健診弱者」と呼んでいますが、そうした方に健康チェックをする機会を提供する活動です。最初は中野を拠点に事業を開始し、最近では地方へのフランチャイズ展開として岡山などでも事業を行っています。現在は全体の95%が催事出店によるもので、駅ナカやスーパーなどに出向いています。健康チェックイベントは毎日5〜6か所で実施し、月換算だと160回、年に2,000回程度実施、毎月1万人以上が健康チェックを受けている計算になります。店舗出店も希望しているものの、行政指導により医師の設置が義務付けられるため、なかなか広げられないのが現状です。ただ最近になって、国も、ヘルスケアビジネス成長戦略にも繋がっていくだろうとの見解で、健康チェックを広める動きも出てきています。

―― 受診者はこれまでに延べ人数でいうとどれぐらいになるのでしょうか?

21万人です。

―― 大変な数ですね。いつ頃から受診者増加のペースが上がりましたか?

2012年からです。

―― NECのプロボノの皆さんがご支援に入った2010年頃は、どのぐらいでしたか?

年間1万人のペースでした。ですので、2010年当時で、累計2万人程度だったかと思います。

―― 年間で1万人だったのが月1万人になったということですが、飛躍のきっかけは何でしょうか?

鉄道会社との連携が大きいと思います。現在8社と契約しており、最初はJRのエキュートなどで実施しました。最近は私鉄各社さんからの引き合いが多いです。それ以外にも、パチンコ店やスーパーマーケット、最近ではデパートも増えています。

―― 健康チェックを受ける方は健診弱者ということですが、どのような年齢層が多いのでしょうか?

中高年の主婦の方が多いですね。健診を受けていないけれども健康意識が高い方々です。

―― 受診することで、やはり色々なことが分かってくるのですか?

受診者の3割に異常値が出ています。受診がきっかけで、病院に行く、たばこをやめる、食事の調整をするなど、具体的なアクションを始めた方も多くいます。
 

データベースで20万人以上の健診データを効果的に活用

―― 21万人を超える健康チェックの結果を蓄積するケアプロさんのデータベースが、実は、NECのプロボノによって構築されているんですよね。

当時構築したデータベースが、ケアプロを支える重要な基盤の一つとなっています。蓄積した情報は、例えば、研究として公衆衛生学会での発表に活用したり、社内でのマーケティング情報としての活用、協働企業向けのレポーティング用素材などに活用しています。特に、企業との協働においては、健康チェックを受けた人の属性を記録しておくことで、企業にとってターゲット層や購入層が合っているかの調査が可能になっています。ある健康食品メーカーとの間では、サプリメントのサンプルの配布と連動させており、健康チェックを受けて値が悪い方にその場でサンプリングすることで、健康食品の販促につなげる、という施策にも取り組んでいます。

―― ビジネスの視点で考えると、健康志向が高く、可処分所得の多い方が住む地域で、健康チェックをした方が儲かる、という話になるような気がしますが、社会起業家でいらっしゃる川添さんとしては、その点、どのように思われますか?

お金が無い人に対しても健康意識が高まるプロモーションが必要だと思います。例えばパチンコ店でもイベントを実施するのですが、パチンコ会社が社会貢献の一環として費用を出してくださるので、お客様は無料で受診できます。そうしたBtoBによるイベントも必要だと感じています。

―― パチンコ店はどういった名目で予算を捻出されているのでしょうか?

CSRとしてです。パチンコ店に来るお客様は健診弱者が多く、検査結果としても、他の回と比較して10倍以上悪い診断結果が出るケースなどもあります。

―― NECさんによるプロボノ支援から数年が経ちましたが、今のケアプロさんとして、もっとこういうシステムやITの活用法が出来たら嬉しいということはありますか?

今後は海外展開を目指していますが、それに向けた活用が出来たらいいと思っています。例えば英語版の開発など。現在はまだ登録するメリットが少ないので、登録すると健康管理が出来るツール、その人の健康状態に合わせたレシピの検索や病院の検索などが出来る、ケアプロだからこその健康に合わせたコンテンツがあると良いですね。

―― 2010年に支援をいただいた社員の皆様と、今も交流はありますか?

プロジェクトが終わった後も連絡を取り、個別に引き続き支援をいただいています。ありがたいことです。

―― 最後に、社会起業家を目指す方に向けて、アドバイスをお願いします。

“自分がやりたいこと”をしっかり発信して、助けてくれる仲間を増やすことでしょうか。ケアプロが立ち上がる前、私は看護師として働いていたのですが、その時の患者さんに行政書士やインテリアデザイナーといった様々な職種の方がいらっしゃって、事業プランについて相談すると、色々アドバイスを下さったんです。退院後も引き続きサポートをいただき、おかげで事業として立ち上げることが出来ました。自分の夢を語って、味方を増やすことが大事だと思います。

協 賛 :NEC

主 催 :サービスグラント